法律のいろは

更新日:2017.05.02

カテゴリー:労働問題のご相談

従業員の間のパワーハラスメントと会社運営へのリスク(最近の裁判例紹介)

 パワーハラスメントは厳密な定義はありませんが,従業員の間の暴力行為・強要・その他の事柄が会社にとってリスクとなる場合はあります。主には,上司から部下への暴行や脅迫,強要などの形をとって現われることになりますが,暴力行為以外には証拠が残っていない場合もあります。暴力や強要・脅迫行為が職場にあることを分かりえておきながら何もしない場合には,会社に対する損害賠償請求を受ける(それに応じる義務が出てくる)リスクがありますし,行った従業員が刑事手続きを受けることもあり得るところです。こうした事柄が刑事罰の対象になることもありえますから,会社の運営上人の側面(職場環境の側面)・風評面でのリスク要因となりかねません。

 損害賠償請求を受けるリスクがあるのは,雇用の場面においても従業員の身体などの安全が守られる職場環境・人的組織を作る義務(安全配慮義務と呼ばれるものです)がある点,仕事中の従業員の行為については使用者責任と呼ばれるものがあるためです。今回は,まさしくこうした責任を元従業員から問われたケースのうち,最近裁判所の判断が出てものの一つを紹介します。

 

 問題となったケースは,コンビニエンスストアを運営する会社において,店長であった従業員から訴えをした従業員が暴力やお金の支払いに同意させられたこと,その他売れ残り品の買取に応じさせられた・給与の支払われない手伝いをさせられたこと等を根拠に,店長であった従業員と会社が損害賠償請求を受けたというものです。問題とされた行為の内容等は多岐に渡りますが,ここでは概要の紹介となります。

 判決文からははっきりしない点もありますが,刑事事件になった様子がうかがわれます。会社側などは,責任の原因とされる暴力・脅迫・強要などの存在を争っていますが,裁判所の判断では多くが存在を認められています。客観的な証拠や被害者とされる方の供述の信用性を評価して事実を認定しています。反論の中には,被害者とされた従業員が満足に業務を行えなかったことに起因して行ったものであるとのものがありますが,このことをも加味して,会社の支配領域内での出来事として会社の損害賠償責任を肯定しています。

 これは,裁判例上会社の業務ではなくても,その支配領域内で行われた業務と密接に関連する事柄に関しても会社の責任を肯定する判断をしてきたことを踏まえてのものです。このほか,上司の立場を利用して買取をさせたことをもって損害賠償責任が発生するとも判断をしています。結果として,相当程度大きな金額の損害賠償が認められています。

 

 このように,訴える側としては直接の加害者とされる従業員だけでなく会社も相手方とされる可能性は十分にあります。これは,会社の方が支払い能力がある等の事情を踏まえてと考えられます。こうした請求が受けたことへ事後的に対応するというのも,不当な内容は戦う・問題を大きくしないうちに解決する等事情により様々考えられます。一番はこうした事柄が怒らないように職場環境を作ること・幹部クラスを含め従業員教育を徹底することでしょう。これまで何となく暴力的な事柄があっても何とかなったという思いがお仕事によってはあるかもしれません。しかし,こうしたリスクを抱えることを踏まえて,対応をしていくことは重要となっているように思われます。

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