法律のいろは

夫婦の一方が負った多額の借金に関する請求への対応(1)

2014年1月16日 更新 

 夫婦の一方が高価な車や時計などの購入をするため、消費者金融から多額の借金をしていたものの、支払えないうちに、他方の所有物などに消費者金融が差し押さえをしてきた…このような場合、借入をしていない他方の配偶者はどのように対応すればよいでしょうか。

 法律上、夫婦が婚姻前に契約をしていない限り、夫婦の一方が結婚前から持っている財産・結婚期間中自分の名前で得た財産は、その取得した人自身の財産(特有財産といいます)となります。

 そして、夫婦のいずれに属するのかわからない財産は夫婦共有財産と推定されることになります。婚姻中自分の名前で得た財産とは、働いて得た財産や実質的に対価を払って得た財産をいいます。ですから、誰の名義になっているかとは関係ありません。たとえば、妻が夫の収入から受け取ったお金を妻名義で貯金をしていた場合であっても、もともとは夫の働いていた給与から貯金しているので、夫の特有財産となります。

 こう考えると、離婚の際に広く夫婦が共同して形成した財産につき、財産分与が広く認められていることの整合性が問題になりそうです。上記のように一方(通常夫)のみ収入があり、他方(通常妻)が収入がない(専業主婦)とき、一方の収入で得たものは全部一方の財産となってしまうことになりますが、実質的にみると、一方が外で収入を得ているのは、他方が家事などを行って家庭生活を支えているからこそのものといえます。ですから、この場合には夫婦が結婚生活において協力して作り上げたといえる以上、その形成にあたっては双方同じように寄与したと考えられます。したがって、収入を得ている人名義の財産であっても、共有財産とみて、離婚時には清算をする対象としています。

 では、本件のように、離婚に至っていない状態で、一方が負った債務について、他方は責任を負うでしょうか。

 先に述べたように、夫婦の財産は別と考えるのが通常であることから、一方が負担した債務については、その負った人の責任になり、他方は責任を負わないのが原則です。ただ、日常家事債務といって、夫婦と未成年の子どもの共同生活に通常必要な食費、衣料費などについての債務は他方も連帯して責任を負います。

 ただ、本件のように、高価な車・時計の購入は夫婦共同生活にあたって通常必要な購入とはいえないので、購入をした当の本人のみが支払う責任を負い、他方は責任を負わないことになります。

 では、そうであるにもかかわらず、第三者である消費者金融が他方の所有物に差し押さえをしてきたときにはどのように対応すればよいでしょうか。これについては次回お話したいと思います。

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