法律のいろは

精神的DV・モラルハラスメント事案と面会交流(3)

2014年5月11日 更新 

 前回、前々回と精神的DV・モラルハラスメントが一方(子どもを監護していない親・難しくいうと「非監護親」)にあり、他方(子どもを監護している親・難しくいうと「監護親」)や子どもとの面会交流の調整にあたって難しい事案についてお話ししました。

 今回は、こういった事案についての裁判例を取り上げたいと思います。

 事案は、子ども(審判当時小学生)をみている親が、他方よりモラルハラスメントを受けたと主張して、離婚裁判が係属中であり、親同士での面会交流の調整は困難というケースです。非監護親が、子どもに特定の教育を受けさせたいと、塾に参加することや宿泊付の面会交流など複数求めています。

 子どもは非監護親のことを少し怖いと思っているところがあるものの、同居時は遊びや運動などに非監護親が付き合っていたこともあり、面会交流自体に拒否的ではないことから、まず、通常の親子が行うような遊びや運動などを通しての面会交流を行うことで認めています(面会交流はあくまでも子どもの幸福のために行うものであるとして、非監護親が望んでいた、特定の教育を教える塾への参加などは、否定しています)。

 また、面会交流の調整については、先に述べたように、現に離婚裁判で夫婦双方が激しく対立している状況であること、子ども自身も第三者の立会を望んでいることから、第三者機関職員関与のもとでの面会交流を認めています。

 この裁判例でも触れているとおり、面会交流はあくまでも子どもの幸せになるものであること、成長にとってプラスになるようなものであることが必要です。そういった観点から、面会交流の内容、頻度、方法とも子どもにとって負担にならないよう、慎重に配慮したものとなっています。

 また、第三者機関の利用を伴うため、費用についても両者でどのように負担するかも定めています。

 この事案では、同居時から、非監護親も何らかの形で子どもと関わっていたケースでしたが、同居時には余り(場合によってはほとんど関わっていないこともありえます)関わっていない場合には、そもそも子どもとの面会交流自体をどういう形で行うかが問題になってくるでしょう。

 そういった場合には、家庭裁判所内での試験的な面会交流の実施も含めて、さらに慎重に調整することが必要になるでしょう。

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