法律のいろは

内縁の場合にも不倫・不貞の慰謝料請求の問題は出てくるのでしょうか?(内縁その④)

2013年8月30日 更新 

 内縁の場合に浮気をされても,婚姻の場合に不倫・不貞をされたのとおないように慰謝料請求ができるのかについて何度か触れてきました。今回もその続きです。

 

 前回,浮気をした二人の責任の割合という話に触れました。前回も触れましたように,これは慰謝料を払った後に浮気をした側の二人のお金の負担を決めるための大きな要素です。もちろん,お金は一人だけが実際には払うという場合には問題とはなりませんが,そういった場合だけではないのが現状ではないかと思われます。

 不倫・不貞の場合にも同じ問題がありますが,半分ずつとされる例が多いように思われます。とはいえ,ケースバイケースですので,一方が浮気の開始・継続を積極的にリードしたとか等の事情があればかわってきます。

 

 内縁には,特殊なものとして重婚的内縁と呼ばれるものがあります。これは,結婚はしているけれども,他の方と内縁状態にある場合を言います。こういった状態ですので,結婚している配偶者から内縁の相手方に不倫・不貞行為を理由とした慰謝料請求の可能性も考えられるところです。

 こうした慰謝料請求が認められるかないなかについては,最高裁判所の有名な裁判例があります。それは,法律は破綻した夫婦関係に対しては原則として保護する利益がないと考えると述べて,慰謝料請求を認めなかったというものです。

 そうすると,破綻した夫婦関係といえるかどうかが問題となりますが,破綻といえる場合は多くはない点に注意が必要です。特に,別居まで至れば破綻といえるかというところが問題になりますが,別居したからといってここで言う破綻とはいえないという点には注意すべきでしょう。別居して相当長期間たっているとか・離婚に向けた具体的な話し合いがかなり進んでいた等の事情が必要かと思われます。こうした事情は生活実態や性生活等色々な事情の考慮になります。かなり立証に負担がかかりますので,簡単に夫婦関係が破綻した後の不倫・不貞だから責任が生じないとは考えない方がいいでしょう。

  夫婦関係が悪くなったから不倫・不貞に至ったというケースは多いと思いますが,不仲を言うだけで慰謝料請求を逃れにくいということです。慰謝料請求に対して,まず責任を否定するという方法もありますけど,こうしたリスクを念頭に置いた方がいいと思われます。ちなみに,婚姻関係が破綻した後に不倫・不貞があった場合についての話である点もご注意ください。

 

 今回は,重婚的内縁に絡んで,婚姻関係破綻後の不貞・不倫という話にかなり触れました 。次回は,重婚的内縁の関係にあった場合に,浮気に対して慰謝料請求できるのかという話について,補足とともに触れていきます。

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