法律のいろは

夫婦の一方が買ったモノを他方が払わないといけない場合はあるのでしょうか?

2013年10月3日 更新 

 夫婦といえば,財布は共通なのだから,一方が買ったモノは他方が払うこともあるのではとお考えの方がいるのかもしれません。そうはいっても,契約した人が別であれば,夫婦といえども,他方が支払う責任を負わないのが原則です。

 

 とはいっても,夫婦であるのですから,特に生活費については共同生活を営むものですし,そのための費用は双方負担と契約をした相手方も信頼します。そうしたことから,夫婦共同生活を営むための費用に関しては,契約をしていない夫婦の他方も支払いの責任を負わないといけないと法律上定められています。

 

 つまり,原則は契約していない方は支払いの責任を負わなくてもいいけれども,共同生活を営むのに必要と考えられる範囲では支払いの責任を例外的に追わないといけなくなります。

 ここで問題となるのは,共同生活を営むのに必要な費用とは何だろうかという点です。これだけでは非常に抽象的なために問題となります。

 もちろん,夫婦の収入などによって,必要な支出というのもかわってきます。その他色々な要素もあります。裁判例では,こうした点を反映して

 ○夫婦の社会的な地位・職業・資産・収入・借金等

 ○問題となっている契約の目的や客観的に見てどんな性質の取引か

 等色々な事情を見て判断するとしています。

 

 とはいっても,夫婦が共同の財布で生活している限り,支払いが難しくなる際には二人ともということで,二人とも借金の整理をしないといけないとき以外に問題となるケースは少ないと考える方がいるかもしれません。

 しかし,場合によっては,夫婦の一方が借金などを隠して自己破産等をせざるを得なくなった際に,いきなり業者側から請求を受けるケースも出てきます。

 

 たとえば,夫婦の収入が月合計で25万円程度で借金が300万円くらいあるケースで,実際にはそれほど必要ではなかった50万円程度の高校受験用の教材を買ったという事案を考えてみます。

 この場合,実際に高校受験を控えた子供がいたというのであれば,生活費と考えられなくはありません。しかし,既に300万円も借金を抱えているのに対して,収入は月合計でも25万円です。子供さんが何人かいた場合には,生活費の確保にも問題が出てくる状態です。こうした事情でも子供がこの教材を欲しいと言って使った事情があれば話は別ですが,そうした事情もないのであれば,共同生活を営むための費用とは考えにくくなると思われます。

 

 このように,色々な事情を考慮することになります。次回に続きます。

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