法律のいろは

インターネット上で誹謗中傷された場合にどうすればいいのでしょうか?(その⑤)

2013年6月18日 更新 

 前回,匿名での書き込みによって誹謗中傷された場合について,書き込んだ方の特定が必要だという話をしました。実際に誰が書き込んだのかを特定しないと,損害賠償請求などの対応を取ることができないからです。

 

 前回は,パソコンの場合に書き込みをする際の情報の伝わり方から,複雑な流れになることを話しました。書き込みをした掲示板を管理するプロバイダからIPアドレス等の情報の開示を求めます。開示を受けた情報をもとに,書き込みをした方が経由したプロバイダを調べます。そのうえで,経由に使ったプロバイダに,書き込みをしたからの氏名などの開示を請求することになります。

 

 法律上,こうした開示を受けるための条件が定められています。それは

 ①開示を求める方が,書き込みによって名誉棄損を受けた方であること

 ②開示を求める相手方が,開示関係役務提供者として法律で定められた事業者であること

 ③書き込みされた内容が見られることで,開示を求める方の名誉棄損されることが明らかである  こと

 ④開示を求める書き込みをした方の情報が,開示を求める方の損害賠償請求をするのに必要であること等開示を求める正当な理由があること

 です。裁判所を使った手続き(裁判や仮処分)では,開示を求める方が①から④の事情が存在することを主張し証明する必要があります。

 

 裁判例で,特に問題になったのは③についてです。この裁判例では,あるサーバー上にあるホームページに名誉を棄損するかに見える情報が載っていた場合に,そのサーバーを所有するプロバイダに法律にもとづき,情報を載せた人の情報を開示が認められるかどうかについて争われました。その中で,③の点が大きな問題になりました。

 裁判所の判断は,

 ア 人の社会的な評判を落とすと通常考えるだろう書き込み⇒名誉棄損といえること

 イ 書き込みが公共に利害にかかわらないこと・主に公益を図るためではなかったこと

   書き込みの重要な部分が本当のことではないこと

 を開示を求める方が主張して証明すべきであるとしています。ちなみに,この裁判例では,名誉棄損であること・書き込みの重要部分が本当のことではないと述べて開示を認めています。

 

 実際に開示を求めるかどうか迷う場合については,こうした点をよく考える必要があるように思われます。

 

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