法律のいろは

夫婦の一方が買ったモノを他方が払わないといけない場合はあるのでしょうか・その②(内縁の場合)?

2013年11月12日 更新 

 以前,夫婦の一方が買ったモノを他方が払わないといけない場合はあるのでしょうか?というタイトルで,夫婦の一方が買った商品の代金を他方の配偶者に支払う義務が出てくるのかという話をしました。今回は,内縁の夫婦の場合はどうなるのかという続きの話となります。

 

 まず,前回は,夫婦共同生活を営む範囲のものであれば,自分は買っていなくても配偶者の買い物代金の支払い義務をおう場合があるとの話をしました。これは,夫婦共同生活を営む範囲であれば,いわゆる生活費であるため,売り主(取引の相手)も購入していないほうの配偶者も支払うと信頼するのが普通という理由から,法律で定められているためです。ですから,夫婦共同生活を営む範囲外であれば,購入していない方の配偶者は支払う義務がないのが原則です。

 ただし,厳密に夫婦共同生活を営む範囲で無くても,売り主(取引の相手)が,購入していない方の配偶者も支払うと信頼するだけの正当な事情があれば,購入していない配偶者も支払義務を負うと判断している裁判例もあります。この点は注意が必要な点です。

 

 それでは,内縁の夫婦の場合には同じように考えられるのでしょうか?内縁の夫婦の場合は,結婚の届出をしていないため,生活実態とそれを支える意思から,内縁の関係にあると評価されます。そのため,売り主(取引の相手方)が,共同生活を営む範囲であれば,2人とも支払ってくれると信頼するという事情は変わりません。ですから,内縁の夫婦の場合も同じように,購入していない方の配偶者も支払義務を負うことがあります。

 

 復習ながら,夫婦共同生活を営む範囲とは何かについて,触れておきます。共同生活を営む範囲が何かは,夫婦によって収入も違えば,職業・子供の数・資産・借金の状況も違ってきます。ですから,いちがいにははっきりしません。ただし,これまでの状況や現状(収入や資産・負債,職業や社会的な立場,子どもの数)を踏まえた上で,買う目的やどんな種類の取引かをも考慮して,共同生活を営む範囲かどうかを考えていきます。

 普通は,買った方が代金を支払うのですから問題は起きません。問題が起きるのは,秘密で買っていて払えなくなった(自己破産等に至った)場合です。このような場合は,離婚問題がおこるケースもありえますが,離婚の問題が起きる場合には,購入していない配偶者は払いたくないケースもありますので,問題が大きくなるように思われます。こうした事情は,内縁の場合にも変わらないでしょう。

 

 このように,買い物ひとつにしても夫婦(法律上の結婚であれ,内縁であれ)には影響していきます。次回に続きます。

 

 

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