法律のいろは

養育費や面会交流の決まりが守られない場合の家庭裁判所での手続き

2013年12月3日 更新 

 離婚の際に,未成年の子供がいれば,親権者を決めないという話はこれまでにしました。そのほかに,養育費や最近であれば面会交流の取り決めをする例も多くみられると思います。折角取り決めても守られない場合にどうすればいいのか?という話は結構問題となります。今回は,これまでもある程度触れてきたこの話題を整理しながら,特に家庭裁判所を使った手続きについて触れていきます。

 

 協議離婚であれば,養育費は,公正証書を作ってさえおけば,通常強制執行ができます。多くは,養育費を払う側の給料や預金の差押えかと思われますが,この方法が相手の有無を言わせない点では優れてはいます。ただし,預金がない・解約されたとか勤め先を辞めてしまったという場合には,意味が無くなるという問題点はあります。いかに公正証書があっても,差押えるものは差し押さえる側が探さないといけないことには注意が必要です。これに対して,面会交流は協議離婚の合意だけでは強制できません。

 

 次に調停離婚であれば,面会交流についても間接強制という方法で強く促していくことが可能です。面会交流と間接強制に関しては,すでに何度か触れましたが,相手方が守らないといけない面会交流の内容がはっきりと特定されていることが必要です。養育費については,協議離婚で公正証書を作っている場合と同じです。

 

 今まで述べた強制的な方法の他に,家庭裁判所に間に入ってもらって,相手方に自発的に約束を守ってもらうように促していく方法があります。履行勧告という制度ですが,強制執行に比べて,費用がかからない点では優れています。強制執行では,後で相手から回収するにしても,裁判所に一度費用を納める必要が出てきます。また,給料が差し押さえられると相手が会社を辞めてしまって結局一時しか養育費の回収ができない恐れがある場合には,ある程度の有効性が在ります。もっとも,相手が確信的に養育費を払わない・面会交流を許容しない場合には,この方法の意味がないという点には限界があります。

 

 このほか,養育費などお金の支払いを求めるものについては,履行命令という制度があります。これは,約束を守ることや命令を出すことに正当な理由があると家庭裁判所が判断すれば,約束を守るようにという審判を出すというものです。正当な理由なく違反すると,10万円の過料が科されます。

 

 このように,色々と制度がありますが,結局どの方法が一番いいかは,自分や相手の状況や意向を踏まえて,選んでいく必要があります。

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