法律のいろは

配偶者の精神疾患や認知症は離婚理由になるのでしょうか(その②)?

2016年3月26日 更新 

 配偶者に躁うつ病や認知症の症状があるだけで,直ちに離婚裁判での離婚原因にはならないだろうという話を前回触れました。法律上,離婚原因とされている「回復不能な」「強度の」「精神病」という要件は相当限定されていること・夫婦関係が破綻していると言えるには,こうした病気だけでは直ちには言えないというのがその理由となります。

 裁判例の中では,破綻が存在するのかどうかの考慮をするにあたって,離婚を求める側が病気にかかっている側に配慮してきたのかどうか等の事情を考慮するものがあります。

 比較的最近とされる裁判例の中では,配偶者のうつ病に対する理解を,離婚を求める側がすることで婚姻関係の改善が期待できると判断することで,夫婦関係の破綻を認めなかったものがあります。この裁判例のケースでは,配偶者がうつ病との診断をうけ,その後事実上の別居に至ってから数か月の間に離婚調停が申し立てられたものです。

 裁判所の判断は第1審と第2審で割れていて,第1審では夫婦関係の破綻を認め,離婚を認める判決を出しています。これに対し,第2審では先ほど述べた事柄を理由に離婚を認めない判決を出しています。

 このように判断が割れた理由としては,離婚を求める側が,うつ病診断の後に治療に積極的に協力しなかったことや事実上の別居から比較的短い期間で離婚調停を申し立てたという事情を大きく考慮するかどうかが挙げられます。第1審では,別居期間が相当程度・交流がないこと・その他離婚を求める側に大きな問題があるわけではないことを理由として挙げています。

 こうしたケースでは,単に交流がない・別居期間がある程度あるというだけでは,夫婦の破綻につながらないと判断される可能性があります。子供がいればその負担にならないように注意すべき点があります。夫婦の間での話し合いによる修復が可能か・離婚をするのであれば今後をどうするのか,よく考えて話し合う必要性を示すように思われます。

 もちろん,配偶者の言動に負担を感じて,直接話し合うのが難しいという事があるかもしれません。そうした場合には,知人や親族,専門家に相談しながら,対応を考えた方がいいでしょう。

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