法律のいろは

離婚と住宅ローンの対応(その①)

2013年12月15日 更新 

 離婚をする際に,全体としてマイナスだった時の話や住宅はあるものの住宅ローンの額の方が大きい場合(オーバーローン)の話などはこれまでも触れてきました。こうした財産分与の際の家や住宅ローンの話(マイナスが大きくて,住宅ローンにはならないけど,家と住宅ローンをどう処理するか)に関しては,これまでも何度も触れてきましたけれども,今回から,確認の意味を込めて,整理していきたいと思います。

 

 まず,具体例を一つ考えてみます。夫婦で築いた財産はマンションしかないけれども,築15年で1000万円しか価値がありません。しかし,住宅ローン額は2000万円残っています。家の名義は夫で住宅ローンを借り入れたのも夫です。妻が保証人となっています。

 

 こうした例で,財産分与はないという話は,離婚と財産分与の話をした際に触れました。この例では,財産分与はないにしても,家やローンをどうするかは話し合う必要が出てくるでしょう。仮に,妻が子どもを抱えているので,今後も家で住みたいと考えた場合を取り上げてみます。この場合に,家の名義を変えることは問題なくできます。ひどくオーバーローンですので,所得税の問題は出てきません。不動産の財産分与で税金の問題は注意するべき点ですが,詳しい話はこのシリーズの中で整理していずれ触れたいと思います。

 この場合に,夫と妻のどちらが住宅ローンを負担するかが問題となってきます。よくある例としては,家をとる側である妻がローンの負担もするというものですが,必ずしも妻が負担しないといけないわけではありません。ただし,夫が負担するとした場合には,夫が他の負債も含めて支払いができなくなると,家を失うリスクや先ほどのケースでは妻も巨額の返済を求められて苦しくなるリスクがある点は注意しておいた方がいいと思われます。

 また,妻が住宅ローンの負担を負うとした場合には,どうやって支払いをするのか・夫を住宅ローンの債務者から外せるのかが問題となります。このうち,後者についてはこれまでも何度か触れましたが,夫婦間の約束は銀行には何ら影響は及ぼしません。銀行としては,返済能力がある方が一人でもいた方がいいので,新しく少なくとも保証人になれる方を要求してくる可能性が高いと思われます。その場合にだれを確保するのかは大きな問題です。さらには,前者の問題とも大きく関係するのですが,妻が専業主婦やパートしかしていない・収入が少ない場合にはそもそもどうやって支払いをするのかも問題となります。この場合には,夫を債務者から外すのに極めて高い壁が立ちはだかりかねません。

 

 このように,離婚に関して,住宅ローンには大きな問題があります。次回に続きます。

 

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