法律のいろは

内縁の相手方が亡くなった場合はどうするの(その②)?

2013年12月18日 更新 

 内縁の相手方が亡くなった場合に,二人で築いてきた財産がどうなるのかは重要な問題です。子どもがいる場合に,子供が相続するという形をとる・遺言があるというならば,話は簡単です。前回に引き続き,子供もなく・遺言もない場合を念頭に話を進めたいと思います。ここで問題とするのは,実際は二人で築いたのだけれども,名義では内縁の相手方のものとなっている場合です。

 

 前回特別縁故者という形にならない限りは相続に近い形での引き継ぎが難しいという話をしました。あくまでも法定相続人がいない場合しか特別縁故者にはなれないからです。特別な貢献をした人には寄与分が認められるべきという話が相続の中では出てきます。しかし,これは相続人の間で亡くなった方の財産を維持させる・増やすために特別な貢献をした方に,貢献の度合いに応じて相続財産の分配を調整しようとするものです。ですから,そもそも相続人とはならない内縁の配偶者については,寄与分ということは出てきません。この話は相続に関する法律の改正がなされた現在も変わりません。改正により特別寄与料というものの請求を相続人でない方も家庭裁判所への申し立てによって認められる可能性が出てきました。しかし,特別寄与料の申し立てができるのは相続人ではないけれどもなくなった方の法律上親族とされる方です。そのため,内縁という形を選び法律上は親族関係のない,内縁の配偶者は引き続きこうした制度を使うことはできません。特別寄与分という制度とは,遺産分割の枠外の制度ではありますが,あくまでも相続人の親族を念頭に置いて,亡くなった方の面倒を見る等の労力などの提供によって亡くなった方の財産の維持や増加に貢献した場合に,その寄与に応じた金銭の支払いを求めるものです。

 

 それならばということで,内縁の配偶者が亡くなることで内縁関係が終了するのだということで,婚姻が終了する場合(内縁が終了する場合)と同様に考えて,財産分与という形で内縁の配偶者に財産を分けようという考え方が出てくるところです。

 しかしながら,裁判例上は財産分与という形で内縁の配偶者に財産を分け与える方法を否定しています。その理由として,生前に離婚する場合について法律上財産分与は決められているのに対し,いわゆる死別の場合は別であると考えていることを挙げています。簡単に言えば,生きて離婚する場合と死別を分けて法律が定めているのだから,生きて離婚する場合の財産分与を死別の場合には持ち込むことはできませんということです。

 

 こうなると,内縁の配偶者に二人で築いた財産を死別の場合に分配する方法はないのかという疑問ですが,この点は裁判例上も決着がついているわけではなく,いくつか考え方(財産を分配するための理屈)が分かれている問題です。

 

 結局こうした問題を回避する一番の方法は遺言を作っておくことではないかと思われます。遺言の作成はもちろん内縁の相手方の生前である必要があります。遺言の中で,二人で築いた財産をどう分配するのか定めておけば,法律上の相続人がいない場合には相続財産管理人の選任申し立てや特別縁故者に関する申し立ての話も出てきません。内縁の相手方に法律上の親族(遺留分の権利者となる子供)がいる場合には,遺言の内容いかんによっては遺留分侵害請求の話は出てくるものの,二人で築いたものの清算はスムーズになるものと思われます。

 次回に続きます。

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