法律のいろは

再婚の法律問題(その⑩)

2013年12月19日 更新 

 再婚の際に子どもを連れての場合,前回は再婚相手が扶養義務を負うのかどうかと養子縁組の話をしました。今回は,相続の話を少し触れてみたいと思います。

 

 遺言がない場合をまず前提に考えていきます。自分が亡くなった場合に,子どもが法定相続人となるのは問題ありません。この場合,再婚相手が生きていれば,再婚相手も法定相続人となります。この場合に具体的に財産をどう分配するかは再婚相手と子どもとの話合い(遺産分割協議)によることになります。遺言を準備する場合には,遺留分減殺請求の問題がありますけど,ある程度自由に誰がどこまで引き継ぐかを決めることができます。

 これに対して,再婚相手が亡くなった場合には,基本的に子どもは法定相続人にはなりません。再婚前から再婚相手の子どもであった子どもは相続人となります。これは,前回も触れたように,親同士が再婚するだけでは,再婚した相手の子どもは法律上は親子にはなりませんから,当然兄弟にもならないのが原則ですので,法定相続人にはなりません。法定相続人にするには,前回も触れた養子縁組をする必要があります。再婚相手の子どもを養子にするのは,他の場合に未成年の方を養子にする場合に比べて,手続きが軽く済むという話は前回(再婚の法律問題その⑨)で触れたとおりです。

 同じことは自分が死亡した場合に,再婚相手側の連れ子が法定相続人に基本的にはならないという同じ話が当てはまります。このような場合でも遺言を作成しておくことで,ある程度自由に誰が財産を引き継ぐかを男決めることができます。

 

 その制約要因として遺留分減殺請求という制度があります。そもそも,遺留分とは,大雑把に言えば,配偶者や子ども等(法律上の親子関係が必要)一定の亡くなった方との関係にある方に,一定程度の相続財産からの取り分を認める制度です。遺留分の具体的な計算はいずれ遺留分を詳しく触れる際に話をしますが,遺留分を侵害するような財産配分(たとえば,再婚相手の子どもに全財産を譲る)ような場合には,先ほどの例だと元からの自分の子どもが遺留分減殺請求をすることができます。注意点は,一定割合を確保するといっても,遺留分のある方が,相続が開始されたこと+遺留分を侵害する行為(贈与や遺贈(遺言による贈与))を知ってから1年以内に権利を行使しないといけないという点です。こうした期間内であっても,相続開始から10年たつと同じように権利が行使できなくなります。この制度については令和元年7月以降には法律改正により,お金の清算を行うものである点が明確になりました。これまでも最終的にはお金の清算でなされることが多かったところではありますが,遺言で相続したものを相続人が支払いのために売却するケースでは,相続税以外に所得税が発生する可能性が出てきました。実際に所得税が発生するのかは遺言をした方がその財産をいくらで取得したのか(取得したお金がいくらかというのは法律上引き継がれますし,ここでの所得税はその財産の時価額から取得したお金を引いたものがプラスの場合に生じます)によります。いくらで取得したのかという点などは税法上の特例がありその活用を考えることになります。この税務面は,改正前は遺留分の権利行使にって相続した方との間ですべての遺産が共有になるので,その清算の際の課税の関係が少し変更になっています。遺留分の権利行使とその清算には相続税の課税(遺留分に該当するお金の部分)と更正(払いすぎ分の減額)の話も出てきますが,それ以外の問題も注意が必要でしょう。

 遺留分の話はいずれ詳しく触れたいと思います。次回に続きます。

 

 

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