法律のいろは

離婚と住宅ローンの対応(その②)

2013年12月21日 更新 

 離婚の際に,結婚後に取得した家と住宅ローンがあった場合の対応について,前回触れました。前回に触れった例と同じ例を用いながら,今度は妻が家を取得するけれども夫が住宅ローンを払うと合意した場合・夫が家を取得することにした場合を触れていきます。

 

 まず,前回触れた例をもう一度述べておきます。夫婦で築いた財産はマンションしかないけれども,築15年のマンションで1000万円しか価値がありません。しかし,住宅ローン額は2000万円残っています。家の名義は夫で住宅ローンを借り入れたのも夫です。妻が保証人となっています。

 

 この例で,夫が住宅ローンの支払いをする場合には,離婚協議書・調停調書で夫が住宅ローンの支払義務を負うと書くことになります。前回も述べましたが,これはあくまでも夫婦間の約束ですから,金融機関には影響はありません。この例では,もともと夫が住宅ローンを借りた立場ですので,支払いを続けることは今までと違いがないケースが多いのではないかと思われます。

 しかし,妻が保証人から外れたわけではないことに注意が必要です。夫が仮に会社を辞めないといけなくなり,再就職のあってがない・事業に失敗してたくさん負債をおった,といったケースでは夫が住宅ローンを支払えなくなることがあります。この場合に,住宅ローンの支払いがなければ,通常家には住宅ローンに関する抵当権が設定されています。抵当権とは,ここで必要な限りで大ざっぱに言えば,まさにこうした支払いができない場合に家を競売にかけてでも借りたお金を優先して回収できる(かつ,競売をするのに裁判をする必要はない)というものです。ですから,家を失うリスクが出てきます。

 そのうえ,妻は保証人ですから,金融機関から競売をしても残った負債について請求を受けてしまいます。そのため,最悪の場合は自己破産を考える必要が出てくるというリスクもあります。

 

 同じような妻の自己破産のリスクは,夫が家を取得する場合にも出てきます。この場合にも保証人は当然には変わりません。あくまでも金融機関が同意してはじめて保証人を変えることができます。ですから,金融機関が納得しない場合には,妻は自分の住んでいない家の住宅ローンに関する保証人となったことで自己破産をする可能性があります。離婚後は夫と連絡を取ることは減るし,知らない事情でなぜ?という気持ちも出てきかねないところです。

 

 このように,住宅ローンには色々な問題があります。次回に続きます。

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