法律のいろは

不倫・不貞(浮気)と慰謝料請求(その⑰)

2013年12月22日 更新 

 不倫・不貞(浮気)をした配偶者が家に帰って来ない・家族を顧みなくなった場合に,慰謝料請求で考慮されないか・顧みてもらえなくなった家族(特に子供)が不倫相手に慰謝料請求ができないか,気になるところではないでしょうか?今回は,こうした話について触れていきます。

 

 まず,前者については,不倫・不貞はあくまで結婚している(内縁も含みます)場合の貞操権侵害と考えられますが,精神的苦痛の根拠となる要素はたくさんあります。あくまでも一要素にすぎませんけれども,家族を顧みなくなった場合には慰謝料の中では考慮はされます。もっとも,こうしたものの一番大きなものと考えうるのは,不倫・不貞で夫婦関係が破たんした場合ではないかと思われます。夫婦関係へ与えたダメージや悪質さ等の中でも考慮することはできるかと思われます。

 

 これに対して,後者は婚姻の配偶者ではなく子どもが,不倫・不貞の相手方に慰謝料請求できるかどうかという話です。そもそも,不倫・不貞が慰謝料を発生させる要因は,先ほど触れたようにあくまでも貞操権侵害です。子どもの権利自体は侵害してはいません。ですから,不倫・不貞だけでなく,子供が養育を受ける権利を奪ったと積極的にいえる必要が出てきます。

 裁判例では,古いものですが,原則として不倫・不貞の相手方は,子供に対して慰謝料支払い義務を負わないと判断しています。。事案としては,妻が男性と不倫・不貞を行い,っ男性医のいる外国にわたってしまったというものです。慰謝料請求として,不倫・不貞のため母親が外国にわたったために子供が母親から養育されなかったことを理由としています。裁判例は,このケースで,不倫・不貞の有無とは関係なく,妻(母親)の自分の意思で子どもを養育するかどうかを決められるものだから,不倫・不貞をしたことで養育を受けられなくなっても,不倫・不貞と養育を受けられなくなったことは原則因果関係がないと判断しています。

 例外的に,不倫・不貞の相手が子供の養育の機会を奪おうと積極的な害意のもと,不倫・不貞だけでなく,子供の養育の機会を積極的に奪ったといえる事情があれば,慰謝料請求を認めると判断しています。多くのケースでは,不倫・不貞の結果,元の配偶者のもとを出て不倫・不貞の相手方のもとに走るという結果になっただけで,中々積極的な害意まではないかと思われます。

 このように,子供からの慰謝料請求のハードルはかなり高いものと言えるでしょう。

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