法律のいろは

再婚の法律問題(その⑪)

2013年12月29日 更新 

 前回まで連れ子のいる再婚の場合を触れてきました。今回は,前回に触れていない話に軽く触れたのち,再婚後に生まれた子供について問題が起きるケースを触れたいと思います。

 

 まず,前回まで触れたように,再婚相手の連れ子はいくら再婚しても当然には親子関係にはありません(あくまでも法律上の話です)。ですから,扶養義務も負いませんし,再婚相手の連れ子が法定相続人になることもありません。遺言がない場合に,連れ子を法定相続人にするには養子縁組をするしかありません。連れ子が未成年の場合の話は以前(その⑧)で触れました。遺言を書いて,遺贈という形で財産をあげることも可能ではあります。遺留分の制約があるという話は前回(その⑨)で触れたとおりです。このように,連れ子のいるケースで再婚した場合には特有の問題となるケースがあります。

 

 これに対して,再婚してその後に生まれた子供はどうなるのでしょうか?普通は,法律上親子関係があるはずだから,当然扶養義務がある・子どもは法定相続人になります。ただし,離婚してから300日以内に生まれた子供の場合には問題が出てくることもありえます。

 これは,法律上嫡出推定制度というものが存在し,離婚後300日以内に生まれた子供は前婚の夫婦との間で法律上親子関係があるものと推定されるためです。女性に関しては,賛否があるものの,原則として離婚してからの待婚期間があります。この待婚期間ははかつて6か月でしたが,最高裁の判断により6か月という長さは合理的ではなく憲法違反とされましたので,現在は法律改正により現在は100日とされています。待婚期間とは,法律上再婚ができない期間(例外として,離婚時などに妊娠していない・そのあとに出産をした)ということです。この制度はまさしく嫡出推定に関する話を踏まえての制度となっています。こういうこともあって,離婚後300日(再婚後200日経過していない〉以内で生まれた子供の親子関係が問題となることが出てきます。簡単に言えば,実際は前婚の夫の子供とは考え難く実際は再婚相手の子供であるのに,前婚の夫との間の子供として届け出ないといけないのかという問題です。

 以前(生まれてきた子供が実際は自分の子供ではない場合どうすればいいのでしょうか?)のコラムでも触れましたが,嫡出推定を受ける場合は,親子関係を否定するには原則嫡出否認の訴え(この訴えを起こすことができるのは親子関係を否定したいと思う父親と推定された男性のみ)を起こさないといけません。ただし,この訴えは前婚の父親(先ほどの男性はこの方になります)が,子どもが生まれたことを知ってから1年以内にする必要があります。これを恐れて,子供の出生届をしない場合には,子どもが無戸籍となってしまいます。

 こうした不都合を防ぐために,戸籍に関する通達や裁判例上の話(ただし,この例外はかなり狭い)・戸籍のない方の救済制度が設けられることによって,ある程度の工夫がなされているところです。これについてはいずれ触れたいと思います。

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