法律のいろは

一緒に住んでいた方と先日別れたのですが,同居中の費用は請求できるのでしょうか?

2013年12月30日 更新 

 一緒に住んでいた異性と別れた後に,同居していた際の費用で払ってもらっていない者がある場合,この費用は請求できるのでしょうか?そもそも,こうした同居が法律上内縁と言えるかどうかという問題がありますが,今回は内縁と言えるだけの関係であったことを前提に,こうした費用が請求できるかどうかという点に触れてみたいと思います。

 

 まず,結婚している場合には生活費(婚姻費用)の負担義務があること・婚姻費用のうち未払いがあった場合には離婚の際に財産分与の要素の一つとして考慮されるという話を以前触れました。今回問題としているような費用の請求は,別れてから時間がたってからという場合も考えられますけど,多くは別れて間もないころではないでしょうか?財産分与に関しては,離婚してから2年以内という期間の制限があるという話を以前しました。

 内縁と呼べる関係にあったのであれば,内縁の場合には婚姻費用の負担義務や財産分与を結婚の場合と同じように考えることができます。つまり,婚姻費用の請求や財産分与(厳密には婚姻費用や財産分与に準じたものとしての請求)を求めることができます。また,少し話が変わりますが,別れる原因が一方に主に責任がある場合は,内縁と評価できる関係ならば責任がある方に対して損害賠償請求ができます。その損害の中の一内容として払われていない婚姻費用もある程度考えることができます。注意すべき点は,ある程度考慮できるということで,全額の請求が裁判の場では認められない(相手が払うといえば話は別です)点です。

 

 問題は,ここでいう婚姻費用(厳密には準じたもの)にどこまで含まれるかということです。内縁関係にあった際に女性側が妊娠して,別れた後(内縁関係を男改称した後)に出産した場合の費用をまず考えてみます。女性の助産にかかったお金・分娩にかかったお金・子供の医療費やミルク代・女性の薬代などが考えられるところです。健康保険から補填されるかどうかという話は置いておきますが,裁判例上こうした費用は男性側が負担すべき費用(婚姻費用に準じたもの)に含まれると判断されています。普通の生活費といえるものが婚姻費用に含まれるのも当然のことです。

 この他に,いわゆる医療費と呼ばれるものではあるけれども,施術を受けなくても体の健康面には影響のないものもあります。たとえば,美容整形や歯科矯正といったものです。こうした費用については,通常の生活に必要とは言いにくい費用ですから,特に負担するという話が相手からあった場合でない限り,婚姻費用に準じたものとは言いにくいものと思われます。

 

 次回に続きます。

 

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