法律のいろは

亡くなった方に大きな借金があることが分かったら(その①)

2014年1月5日 更新 

 最近,相続関係の話は各士業の方の話や広告などで見かけます。通常,それなりの資産を残す可能性のある方を前提にしている印象がありますが,残念なことに残す可能性があるのは資産だけではなく負債(借金など)もあります。今回からしばらく,亡くなった方に大きな借金があることが分かった場合にどうするかという話について,触れていきたいと思います。

 

 こうした亡くなった方の借金が分かるのは,大きく言うと次のような場合があるのではないでしょうか?

 ①亡くなった方の生前から商売の失敗等があって,大きな負債・借金があるのが分かっていたケース

 ②亡くなった方が実は誰かの保証人になるなどしていて,死後しばらくしてから大きな負債・借金があるのが分かったケース

 

 今回は,とりあえず①についてある程度触れていきます。①の場合については,生前立て直しが可能かどうかある程度見極めがついていれば,自己破産手続き(亡くなられた方自身)等の借金整理の手続きを取っていれば,死後に問題を残す可能性は大きくは減ります。特に自己破産を行っていれば,原則として(税金や一部費免責債権と法律上されている債権は除きますが)負債の支払い義務が消滅しているためです。

 もっとも,その準備をしている途中で亡くなられた場合には,負債・借金の相続についてどうするのかを考える必要が出てきます。負債・借金は,法律上当然に相続分に応じて分割されます(遺言がある場合であっても,亡くなった方の債権者に対して遺言通りの負担を原則として主張できません)。連帯債務の場合は,相続分に応じて分割された状態で各相続人が連帯債務を負います。分かりにくいので,簡単な例を触れます。  たとえば,亡くなった方が2000万円の連帯債務を他の方と負っていた場合を考えます。亡くなった方の配偶者が先に亡くなっていてに二人の子供がいるとすると,それぞれが1000万円(2000万円÷2)の連帯債務を他の方と負うことになります(ちなみに,他の方は2000万円の連帯債務を負ったままです)。保証人となっておった負債も相続されますが,注意するべき点があります。継続的に発生する負債に保障していく身元保証のようなタイプは,亡くなるまでに発生していた具体的な負債は相続されますが,それ以上は相続されることはありません(簡単に言うと,身元保証をし続ける必要はなくなったけれども,既に発生した負債は支払わないといけないということです)。

 

 ここで問題となるのは,負債・借金が相続で引き継がれたことを前提にどうするかというものではなく,相続により引き継ぐかどうかを決める必要がある(後で触れる相続放棄をするかどうか)という点です。引き継ぐことを前提とする場合には,その相続人の方自身が支払うか・債務整理をするのかどうかを考える必要が出てきます。負債が多い場合には自己破産を考える必要も出てきますが,特に財産の清算やご商売をされている場合にはその部分を含めての清算の可能性があるため影響は大きくなります。これに対して,相続放棄ができる場合にはプラスも引き継げませんがマイナスも引き継がないというところに特徴があります。ただし,相続税が一部課税される場合もあり得ます。別のコラムで特に後者について詳しく触れます。

 

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