法律のいろは

預金などの使い込みは離婚の際にどのように考えればいいのでしょうか?

2014年1月10日 更新 

 いざ離婚という話になったとき、もっぱら管理を任せていた自分の預金口座など金融資産の残高が大幅に減っていた…というケースはしばしばみられます。

 このように結婚生活の間に、夫婦が双方協力し合って築きあった預金など金融資産を、一方が使い込み、離婚の際にはかなりの部分が費消されていた・あるいはなくなってしまった場合には、使い込まれた預金などは離婚の際、どのように考えればいいのでしょうか。

 夫婦双方が一緒に作り上げた資産は、双方が権利をもっていますから、一方が勝手に承諾なく払い戻しを受けて使い込みをしたのであれば、違法になり、使い込まれた側から不法行為に基づく損害賠償請求を別途できそうに思えます。

 ただ、夫婦の間では、たとえば普段必要な日常品の購入など日常家事の範囲内にあたるものについては、お互いそれぞれの名義の預金から引出をすることは通常許されているとみるのが妥当です。日常家事の範囲内にあたるものとしては、夫婦と未成年の子どもとの共同生活に通常必要とされる一切のことを含むとされています。ですから食料品・衣料品の購入・医療費・娯楽費・子どもの養育費・教育費などが当然に含まれます。

 そうでないと、日常必要な物を購入するたびに相手の承諾がなければならないとすると買い物をするにも不便ですし、お店なども安心して取引できなくなります。

 なので、そういった日常の家事の範囲を多少超えているといっても、お互い承諾することが合意されているとみた方がよい場合も多いといえるので、特に事情がない限り当然に不法行為にあたるとして、一方が他方に対して損害賠償を請求できるとはいえないとするのが通常です

 もっとも、夫婦生活が破たんして、お互いそういった日常家事の範囲内での取引を委任し合う関係が解消されたときには、婚姻関係の清算にあたるので、使い込まれた預金などについて財産分与や離婚慰謝料の中で考慮していくことになります。

 このように、夫婦生活が破たんする前に使い込まれていた預金などについて、別途不法行為に基づく損害賠償によることが認められるのはかなり限定されているといえるでしょう。

 

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