平成26年1月14日の最高裁の判断に関して,前回少し触れました。今回もこの続きです。
前回は,これまでの考え方について,認知をした方は認知の無効を求めることができないという考え方を述べました。これに対して,認知をした方も認知の無効を求めることができるという考え方もあります。認知は,真実の親子関係を重視するべきものと考えて,そうではないものは本来無効になるべきものというものです。子供やその他利害関係人がいつでも認知の無効を求めることができる(認知が真実の血縁にもとづかないから無効を求める)と捉えることになります。
これらをふまえて,最高裁の判断の枠組みについて触れます。結論は,認知をした方も,認知が実際の血縁にもとづかないものなら認知の無効を求めることができるという内容です。その根拠として,
①認知をした事情は色々あるのだから,いくら真実には反すると知って認知してしても無効を求められないのはおかしい
②子供や利害関係人は,いつでも,認知が真実の血縁に反することを述べて認知の無効を求められるのだから,認知をした方だけ無効を一切求められないのはおかしい
③認知をした方が,認知やその無効について強い利害関係を持っているのに,利害関係人がいつでも認知の無効を求められるのとは整合性がない
こうしたことをふまえつつ
④法律上,認知をした方は認知を撤回できないと定められているものの,真実に反した認知の無効を求められないことまでは意味していない
ことを述べて,原則として,認知をした方が「利害関係人」の一人として認知の無効を求められると判断しています。注意すべきは,この判断の枠組みの中では「一律に」認知の無効を求められないのはおかしいと言っているだけで,事情によっては認知の無効を,いかに真実の血縁に反していても求められないケースがあることを前提としていることです。このことは,判決文の中でもはっきりと書いてあります。
認知が真実に反する事を知っていたことを前提にしての判断ですから,このことだけで認知の無効を求められない事情にはなりえませんが,問題はそうした例外となる事情が何であるかということかと思われます。
これに対して,結論には賛成だけれども,先ほどの理由はおかしいという「意見」と認知の無効は一切求められないという「反対意見」が存在します。これらの理由づけなどは次回補足していきます。
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