法律のいろは

子供との面会交流(その⑭)

2014年1月30日 更新 

 離婚の前後を問わず,未成年の子供を養育していない親にとっては,子供との面会は大きな関心事かと思われます。子どもにとってもそうであるケースは多いことでしょう。面会することやその内容を,一度親同士で裁判所で取り決めた(調停)・裁判所が取り決めた(審判)場合に違反したらどうなるのでしょうか?

 

 以前,守るべき内容がはっきりと特定されている場合にはペナルテイ(制裁をお金で課す),間接強制と言われるものです,の話をしました。ペナルテイが加えられるとして,それはどんなことを考慮して決まるのでしょうか。今回は,実際の裁判所の判断を一つ紹介します。

 

 問題となったケースは,離婚裁判で離婚した夫婦のケースで,3人の子供の親権者は母と定められたものです。離婚と並行して,父親側から子供との面会交流を求める申立が裁判所でなされ,3か月に1回・細かい場所は母親が指定する等の内容でした。特徴として,裁判所の判断の中に,面会がうまく行かない場合には,まず履行勧告(簡単に言えば,裁判所の調査官を通じて守るよう話をしてもらう)ことを行うべきと意見がかかれています。

 父親側が,裁判所の定めた面会に関する事項を守る,子供と併せてほしいと母親側に求めたところ,拒否されました。履行勧告も行われたもののうまくいかず,父親側からペナルテイのお金の支払いを求めたものです。

 

 裁判所の判断は,①面会交流を拒む正当な理由があったか②理由がない場合のペナルテイをどう決めるか,から成り立っています。

 まず,①については,裁判所の判断後に生じた事実は,別に面会交流の禁止や変更を求める手続きを母親側からおこしていうべきものとして,正当な理由がないと述べています。この点は重要で,この判断からすると,子供と会わせない正当な理由があると考えるなら,単に会わせないというのではなく,それなりの手続きを取る必要が出てきます。

 次に②ですが,母親側の態度(会わせる頻度も多くなく,場所や方法などで子どもを含めて負担が大きくないよう配慮されているのに,頑なに合わせない点等)の他に,父親側の態度(養育費などを払わず,逆に相手方に負担を負わせている)等父親側の態度が面会が実現できないことに影響を与えているとして,双方とも考慮に入れるべきとしています。

 この点は,面会が実現できない原因が双方親のどういった点にあるのか・親権を持つ親の態度から見ての面会の実現可能性等色々な要因を考慮するということであろうかと考えられます。

 

 結論的には,子供の養育が公的給付で結構な部分がまかなわれることや面会場所までかかるだろう交通費も考慮して,ペナルテイの金額を決めています。このように,裁判所は多くの要素を考慮して,金額を決めているようです。ケースバイケースではありますが,難しい問題です。

 

 次回に続きます。

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