法律のいろは

離婚後の養育費(その26)

2014年2月25日 更新 

 離婚の際に養育費の取り決めをしていたのだけれども,その支払がないということはしばしば問題となることがあります。実際,ある調査では支払われていないことが多いというのを聞いたことがあります。この場合に,どうやって回収していくのかも問題になりますが,その前に養育費は時効にかかることはないのでしょうか?

 

 ここでいう時効とは,一定の期間支払いがないまま放っておいた場合に,相手方(養育費を支払うべき側)が時効にすると主張すれば,養育費の請求ができなくなるということを指します。

 ここで注意する必要があるのは,離婚の際に養育費は定めることが多いと思いますが,必ずしも定める必要は法律上はありません。このように,養育費の定めをしない場合にも時効の話は出てくるのかという点です。養育費の支払いに関しては,夫婦の間で決める前や家庭裁判所での話合い,家庭裁判所での判断で決められる前は,具体的に生じていませんので,時効になるという話は出てきません。

 決まっていないのであれば,話合いが元夫婦本人同士でできれば本人同士で決める・難しければ裁判所での調停(話合い)や判断(審判)で決めることになります。決まった金額を請求していく形です。

 

 これに対して,一度決まった養育費に関しては,時効が問題となってきます。ひとつ例を挙げて考えていきます。たとえば,夫婦が平成26年2月25日の離婚の際(子供は10歳の子どもが一人)に養育費について,次のような取り決めをしました。取り決めは,公正証書でしたケースです。

「平成26年3月から平成45年○月(子どもが20歳になる日が属する月,5月5日生まれなら5月になります)まで,毎月5万円を毎月末日までに支払う」

 この場合に,平成26年5月まで養育費の支払があり,その後は支払いがないとします。そういった状況でどこまでのお金を請求できるでしょうか?これは,支払時期がやってきている範囲になります。ですから,支払時期がやってきていない範囲の養育費までは請求できないことになります。

 

 仮に,この例で支払いがないまま何年も過ぎた場合,しかも請求をしないでおいた場合にどうなるのかというのが時効の話になります。時効の問題に対応するには,裁判や差押えをすることが考えられます。公正証書でお金の支払いを取り決める場合には,普通支払いがないと強制執行(差押え)に服するという文言が織り込まれ,そのおかげで裁判なしで差押をすることが可能です。差し押さえるものがない場合には使えないという欠点がありますけど,働いていて給料があるという場合には使える方法です。

 

 こうした方法を取ると,時効の期間がリセットされるからです。簡単に言えば,時効に必要な期間(たとえば,5年)が一からっスタートするので対応できるという話です。

 

 このように難しい話ですが,次回に続きます。

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