法律のいろは

離婚後の養育費(その27)

2014年2月26日 更新 

 前回は,離婚した後に未成年の子供に対して失払われるべき養育費に時効はあるのかという点について触れました。今回もその続きです。前回は,支払時期がまだ来ていない養育費や話合いなどがついていないものは養育費の事項が問題にならないという話をしました。

 

 ということは,裏返せば,支払時期が来たけれども支払われない養育費は,時効になってしまう可能性があるということです。前回挙げた例をもう一度あげてみます。,夫婦が平成26年2月25日の離婚の際(子供は10歳の子どもが一人)に養育費について,次のような取り決めをしました。取り決めは,公正証書でしたケースです。

「平成26年3月から平成45年○月(子どもが20歳になる日が属する月,5月5日生まれなら5月になります)まで,毎月5万円を毎月末日までに支払う」

 この場合に,平成26年5月まで養育費の支払があり,その後は支払いがないとします。

 時効になるとは,簡単に言えば,法律で決められた一定の期間が過ぎ去る前に対抗措置を取らずに置いたままである場合に,支払うべき側が時効を主張するといえば,権利が消えてしまう(養育費の請求が認められない)ことをいいます。問題となるのは,養育費の場合の「一定の期間」とはどれくらいの長さであるのかという点と対抗措置の内容についてです。

 

 まず,対抗措置の内容は前回も触れました。裁判で請求する(訴訟を起こす)・差押えをする,このほかに支払うべき側に支払うべき養育費があることを知っていると言ってもらうこと(専門用語で承認と呼ばれるもの)です。このうち,支払いがないのに「承認」する方はあまりいないでしょうから,裁判をすることと差押えをすることが中心になってきます。

 

 次に,時効のために法律上要求されている期間はどのくらいでしょうか?この問題については,いくつか裁判例があります。うち昨年出た裁判例を紹介します。そのケースでは,離婚した際に子どもの養育費を毎月5万円と合意していました。ところが,最初の4年は支払ったものの,その後支払はなく10年近く経って養育費の支払いを求める裁判をおこしたものです。

 

 この裁判で,支払いを求められた側は支払時期の到来した養育費は5年で時効に必要な期間であると主張しています。これは,法律上「年または年よりも短い時期によって定めた」お金を支払う約束は5年の時効期間でいいという定めが適用されるべきという考えによるものです。月ごとの支払いは年単位よりも短いから,この定めが適用されるというのがその根拠となります。

 

 この裁判例の結論と先ほどのケースだとどうなるかは次回に触れたいと思います。

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