法律のいろは

裁判離婚について(その⑫)

2014年3月8日 更新 

 夫婦双方で離婚自体には争いがないものの、慰謝料の額に大きく隔たりがあるという場合、とりあえず争いがない離婚の方を先に成立させて、慰謝料についてだけ別途裁判を行うことができるのでしょうか?

 前回は、離婚を求めずに先に他方配偶者に慰謝料を請求し、その後離婚を請求する場合についてのお話しでしたが、今回は先それとは逆のケースについてです。

 前に離婚調停のところで触れたと思いますが、離婚に伴う慰謝料請求は、不法行為に基づく損害賠償なので、離婚から3年以内であれば請求することができます。

 ですから、未成年の子どもがいるケースでは時々ありますが、就学前に先に離婚だけ済ませて、金額の隔たりが大きいゐさy量はあとで裁判により行う、というのもなくはないと思います。

 この場合には、①不法行為に基づく損害賠償として、請求する金額に応じて地方裁判所または簡易裁判所に裁判を起こす

 ②家庭裁判所で離婚裁判の関連請求として行う

 ③財産分与として請求する

ことが考えられます。

 この③は財産分与を結婚生活の清算として考える清算的財産分与・離婚後の配偶者の生活保障のためと考える扶養的財産分与のほかに、慰謝料的要素を加味する見解によるものです。

 この財産分与で考慮されるのは、あくまでも離婚に伴う慰謝料請求であって、個別の不倫・不貞行為についてやDV被害といった不法行為については含まれないとされていますので、注意が必要です。

 離婚慰謝料は、上記①~③のどれかで判決により判断されると、他の方法によることはできないので(二重に判断されません)、特に財産分与として請求をされた場合、清算的財産分与か、扶養的財産分与か、そうではなくて慰謝料的財産分与かをはっきりさせないと裁判所は判断をしません。

 通常は離婚慰謝料は①か②の方法で判断してもらえますし、請求できる期間との関係でも(離婚慰謝料は上記のとおり離婚成立から3年、財産分与は離婚成立から2年以内に審判申立てが必要)わざわざ③による必要性は少ないと言えます。

 

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