法律上定まっている労働時間よりも多く働いた場合には,給料を割り増しで払う必要があります。一日8時間・週40時間というのがその時間です。ただし,「事業場外」で働いていて,どのくらいの時間働いたのかが把握し難い場合には,その例外と言える話が出てきます。前回まで触れていない細かなことを言えば,休日(法律上は週一回で,土曜日日曜日には限りません)に働いた場合や,午後10時から午前5時のお間に働いた場合(深夜労働)の場合には,原則通り割増賃金が発生します。
前回まで,例外と言えるための前提として
①「事業場外」で働いていること
②勤務時間を算定しがたいこと
の二つが法律で要求されているという話をしました。前回は,外回りの人を念頭に裁判例をひとつ紹介しました。今回はその続きです。
前回紹介した裁判例では,始業時間や終業時間がタイムカードによって管理されていることが勤務時間を会社側が把握できたことの大きな要素として挙げていました。似たようなことは,業務日報についてもあてはまる可能性があります。
裁判例2
訪問販売の営業[外回りの営業)をしていた従業員が残業代を請求した時間で,外回りであることから,勤務時間を算定しがたい場合に当るかが問題となりました。このケースでは,訪問した先について訪問した時間帯・見込み・今後の見通しなどを報告するとともに上司に翌日の訪問先なども報告するとされていました。
裁判所の判断は,報告書の内容からすると,会社は勤務していた(訪問していた)時間を把握できるし,ここまで管理されていると自由に休憩を決めることができる等の大きな裁量はないと判断しています。つまり,こうした点から,勤務時間を把握しがたいとは言えないと述べています。
別の裁判例では,こうした外回り営業に関して,携帯電話を外回りの従業員が会社から持たされて,報告を行っている場合には,勤務時間を把握できると判断しています。
これに対して,数は少ないですが,勤務時間を把握しがたいと判断した裁判例もあります。問題となったケースについては次々回に紹介したいと思います。次回は,最近最高裁で判断されたケースについて紹介したいと思います。
早くから弁護士のサポートを得ることで、解決できることがたくさんあります。後悔しないためにも、1人で悩まず、お気軽にご相談下さい。誠実に対応させていただきます。
© KEISO Law Firm. All Rights Reserved.