法律のいろは

こんな理由で離婚が認められますか?(その⑲)

2014年4月10日 更新 

 以前、このテーマで「家庭内別居」について触れました。結婚生活がだめになった、破綻したといえるかの目安の一つである別居とは別に、離婚のご相談ではしばしば相手と一緒に住んではいるが、いわゆる「家庭内別居」であったというお話しを伺うことがあります。いわゆる熟年離婚を考えていらっしゃる方で割と伺うような気もします。

 それでは、この「家庭内別居」が原因で離婚が認められる場合はあるのでしょうか。「家庭内別居」は、離婚理由について具体的に定めている民法の規定には該当しないことから、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるか検討することになります。

 裁判例では、数年前から性関係も拒否し、子どもの面倒はみるが相手方の食事・洗濯をしなくなったケースで、「家庭内別居」の状態であり、結論として離婚は認めたものの、ここでいうような状況では結婚生活が破たんしたとまではいえないと判断しているもの・

10数年以上前から寝室を別にし、性関係が事実上なくなり、その数年後には同じ敷地内の別棟で生活をするようになり、次第に一方が部屋の鍵を取替え、中の物を外に積み上げたり、経営する会社を巡っての争いが激化するに至ったというケースで少なくとも別棟で生活するようになったときに破綻に近い状態になり、鍵の取替え・会社を巡る争いが激化などしたとき、回復困難な程度に破綻したと判断しているものとがあります。

この二つのケースをみると、どちらも「家庭内別居」というだけでは結婚生活が破たんしたとまでいえないと考えているようです。後者の場合は「家庭内別居」からさらに別棟での生活になったこと、その後の紛争の激化からもはや結婚生活はだめになったと判断しています。

そうなると、やはり単に「家庭内別居」の状態というだけでは、「別居」とはいえ、まだ同じ屋根のもとに住んでいる以上、夫婦としての共同生活の実体を欠いたとまではいえず、もとの結婚生活に回復する見込みありと判断されやすいでしょう。それ以外の事情をみて、これではもうもとに戻るのは難しいといえて初めて、「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたるといえることになります。

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