法律のいろは

夫婦で共有になっている財産の清算の方法について

2014年4月14日 更新 

 結婚後、自宅を購入した場合、夫婦で共有にすることは割と多いのではないかと思われます。

 その場合、その後残念ながら婚姻関係がだめになってしまって、自宅の清算の話になったとき、必ず離婚を行う場面での財産分与の中で行う必要があるのでしょうか?

 仮に相続の場面で,相続人で遺産を共有する形になっている場合には、遺産分割の手続きによるべきであって、それとは別に共有状態を解消する、共有物分割請求の手続きによることができないとされています。これは、遺産の場合、遺言がなければ法律上定められた相続分に応じて割合を決めることが可能であること・何が相続財産・遺産なのか争いがある場合であっても、別途その範囲を確認する裁判により、相続財産の範囲を決めることができ、それにより各相続人は法律で定められた割合に応じて持分を決めることができ、具体的な配分の話もできる以上、遺産分割の手続きによれば事足りる、というのが理由です。

 これに対して、離婚の場合には、すべて財産分与により解決できるかといえば、そうではありません。清算をする際、一方が他方の財産形成にどのくらい貢献していたか、という寄与度についても、通常1/2と考えるのが一般ですが、法定相続分のようにすっぱりと決めることができるとはいえません(なお、相続の場合でも、相続人の中で、亡くなった被相続人が会社をやっていた場合の事業への援助や病気について看護をしていたなどにより、遺産の維持や増加に特別の貢献があれば、その貢献を加味して相続分を算定する制度があります。ただ、これもあくまでも法定相続分+寄与に応じた金額、という形で考慮されるもので、そもそも分け方自体が一義的に決まらないというわけではありません)。

 また、財産分与の対象になる財産は、つねに共有というわけではなく、一方の名義になっていることもあります(財産が預貯金や有価証券などであれば、単独名義なのがほとんどでしょう)。ですから、そういったケースでは財産分与により分けるしかないですが、それとは別に共有となっているものの清算をする、共有物分割請求の制度が利用できる場合にまで、財産分与の制度があるから、それのみによるべきだとしてしまうのは、かえって不都合でしょう。

 加えて、そもそも離婚を求める側が、いわゆる夫婦の破綻の原因を作った、有責配偶者であるときは、離婚はもちろん、財産分与を求めることもできません。ただ、こういった場合でも事情によっては共有物分割請求を認めた方がよい場合もありえます。

 そのため、夫婦における共有財産の清算については、遺産の清算の場合と異なり、必ずしも財産分与だけでしなければダメというわけではなく、共有物分割請求でも可能とされています。なお,離婚とは全く逆の話になりますが,税金面では結婚して20年以上経過した夫婦の間での居宅用不動産の贈与や購入資金の贈与に関しては優遇措置(税額をを下げるための評価減を行うことができる,贈与税での話)を使うことも可能です。

 

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