法律のいろは

成人した子どもから学費・生活費の支払いを求められたときは?

2014年4月19日 更新 

 養育費の支払いをいつまですればいいのか、ということについては以前別の項目で触れました。子どもが成人に達した以降は、子ども自身が働くなどして、自分で生計を維持するのが原則と考えられていることから、成人後は親の子どもに対する、養育費の支払い義務は通常なくなうと考えられています。

 ただ、最近は高学歴化がすすみ、大学進学も珍しいことではなくなりましたし、最終学歴が大卒かどうかでその後の就職先の確保にも影響してくるようになってきています。そのため、単純に20歳になったから、養育費の支払いを一切打ち切る、授業料も教材費などもあとは子どもが自分で調達すべき、と考えるのは一義的すぎるように思えます。

 実際、しばしば養育費の支払いについては、子どもが一般的に大学を卒業する年齢の3月までと取り決めをすることもしばしばみられます。

 では、養育費・あるいは授業料などを支払ってもらう立場である、子どもの側から、収入のある親に対して、養育費などを支払いを求め、認められたケースはあるのでしょうか。

 裁判例では、成人となった子どもから親への支払を求めたケースで、親に教育費・生活費としての支払をするよう命じたものがあります。

 いずれも、近年4年制大学への進学率が相当に高まっていて、大学での教育を受けたかが就職や賃金にも影響を与えている現状に触れつつ、大学進学後子どもが学業に専念するため、学費や生活費まで稼ぐことは難しいことから、不足が生じた経緯・不足する額・奨学金の種類・額・受け取り方法・子どものアルバイト収入の有無・金額、子どもが大学進学をするにあたっての子どもや親の意向、親の資力、親の再婚の有無、などを考慮して判断すべきとしています。

 上記裁判例の中の一つのケースでは、子どもを育てる親はパート収入しかなく、未だ未成年の兄弟もいるというもので、子どもの奨学金・アルバイト収入だけでは十分といえず、未だ扶養が必要な状態としています。反面、支払を求められた親は収入が1000万円を優に超えており、今後も同程度の収入が見込めること、親自体大学卒業しており、子どもの大学進学について特段同意していたような事情はないものの、子どもの成績からすると大学進学は予想できたなどとして、月々一定額の支払をするよう命じています(なお、このケースは支払を求められている親が再婚し、扶養家族がさらに増えているケースです)。

 通常母子家庭の場合、よほど母親が十分な収入を得ているような事情がない限り、特に私学の授業料などを母親・子どもだけで負担するのは困難なことが多いでしょう。そうなると、支払を求められる父親の学歴や収入によるとは思いますが、子どもから教育費などの支払を求められた場合には、認められるケースの方が多いのではないかと思います。

 

 

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