法律のいろは

未収金(売掛金や貸金等)はいつまでも請求できるのでしょうか(消滅時効その⑤)?

2014年4月28日 更新 

 支払いをもめられるときから,一定の期間が経過して対抗措置を取らなければ,折角のお金が請求できなくなるかもしれない(厳密には,請求しても法律的には認められないかもしれない)という話を何度か触れました。売掛金や貸金だけでなく,交通事故における損害賠償請求や慰謝料についてもあてはまることです。

 対抗措置としては,主に3つあることは前回までに触れました。

 ①広い意味での裁判上の請求(簡単に言えば訴える事ですが,厳密にはいくつか種類があります)

 ②差押え(仮差押え・仮処分)

 ③承認

 

 このうち,②について,前回は主に支払い督促というものについて触れました。裁判所に訴えると言っても色々とあることには注意が必要です。それでは,裁判所に訴えないのでは全く意味がないのでしょうか?全く意味がないことはありませんが,不十分というのがその回答になります。

 裁判外でも請求をすることは,法律上「催告」と呼ばれるものです。裁判外であっても請求には違いないので,この「催告」をして6か月以内に裁判上の請求をした場合には,「催告」をした時点で時効に必要な期間がリセットいたものとして扱われます。注意点は,「催告」だけではリセットされないという点です。特に,時効に必要な期間が過ぎそうな間近の場合には6か月間の猶予ができはしますが,あくまでもつなぎ程度のものでしかありません。

 「催告」の方法は限られてはいませんが,いつ行ったかをはっきりと証拠に残すための一つの方法として,内容証明郵便を使うのは有効です。

 

 「催告」で猶予ができるなら,何度も「催告」を繰り返せば,その都度猶予ができるのではないかという考えが出て来るかもしれません。こういう使い方が出来れば請求する方には都合がいいのですが,裁判例上こうした「催告」の使い方は認められていません。分かりやすく言えば,「催告」を使うことで猶予されるのは1回だけということになります。

 たとえば,Aさんに個人的な貸し借りで100万円を貸しているとします。返してもらうのは平成15年3月31日だったとすると,ここから10年が経過すると事項に必要な期間が経過します。平成25年の2月28日になって慌ててAさんに内容証明誘因を使って返すよう請求しました(単純に考えるため,28日にAさんのところに郵便が届いたとします)。これで「催告」になり,Aさんのところに郵便が届いてから6か月以内に裁判上の請求をすれば,この届いたときに事項に必要な期間(10年)はリセットされます。この6か月以内に裁判上の請求をせず,もう一度内容証明郵便を送っても更に6か月以内に裁判を起こせばいいということにはならないのです。

 昨年最高裁の判断が出たところではありますが,注意すべき点です。今ここで触れた裁判例は次回も触れたいと思います。

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