法律のいろは

別居期間が長い場合、年金分割の際に考慮してもらえますか?

2014年8月2日 更新 

 特に中高年齢者の夫婦の離婚の場合、長年専業主婦をやっていた妻が離婚後勤めにより収入を得ることは困難である上、年金を受給できるようになっても、就労期間が短期間であったり、パート収入などしかないときは十分な金額の受取ができず、夫との年金受給額に格差が出てきます。

 そのような格差を是正するため、扶養的な財産分与として定期金の給付を合意したりすることもありましたが、相手方(通常、元夫)が死亡した場合、他方(元妻)は支払を受け取れなくなってしまうというリスクがありました。

 こういった事態を回避するために、離婚の際に結婚中に働いていなかった側が他方標準報酬などの分割を受けられるようにしたのが、離婚時年金分割制度というわけです。

 ですから、受給できる資格さえ得られれば、老齢年金の受給時改定などがされたあとの年金額を受け取ることができ、相手方が死亡しても何ら影響なく受け続けることができるのです。

 これは、一方が現に受給することになった年金額の一部を他方に分けるのではなく、一方の標準報酬(保険に入っているものの報酬月額を所定の等級区分にあてはめて計算したもの)を他方に分割し、分割を受けた額に基き、老齢厚生年金などの金額を計算し、老齢厚生年金などを受給でっきるようになります。

 年金をどういう配分で分けるかという按分割合については、対象期間内の保険料給付に対する当事者の寄与の程度その他一切の事情を考慮するものとされています。これを扶養的財産分与の場合とパラレルに考えると、同居期間の長さに比例して割合を決めるのがよさそうにも思えます。

 しかし、老齢年金は夫婦双方の老後のための所得保障を同じようにしていくものといえ、通常は別居期間があっても按分割合は1/2になることが多いようです。別居が長期間になっているときや別居が長くなった原因は例外的な事情としてどの程度考慮されるかというところだと思います。

 ですから、財産分与の場合とは異なり、別居期間などは余り考慮されず、離婚時までの標準報酬が分割対象になる可能性が結構あるといえます。

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