法律のいろは

遠隔地での離婚調停で調停成立時本人が出廷できないときは?

2014年10月26日 更新 

 離婚について話し合いがつかず、一方が離婚を希望する場合、まず、離婚調停の申し立てをする必要があるということは、これまでにもお話をした通りです。この調停申し立ての際には、たとえば中間地点の家庭裁判所で、とか自分の今住んでいるところを管轄する家庭裁判所で、という合意ができない限り、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てをしなければなりません。特に一方が遠隔地の実家に戻ってしまったときには、相手の住むところの家庭裁判所で調停が行われることの負担は時間的にも費用面でも大きくなります。

 家事事件手続法改正により、遠隔地への居住その他相当なときは、電話会議システムあるいはテレビ会議システムにより、調停ができるようになったことから、その利用も増えてきているようです。

 ただ、話し合いが煮詰まって慰謝料・財産分与、親権・養育費などで合意ができる見通しがつき、調停が成立となりそうなときにも、電話会議システム・テレビ会議システムで成立とできるのでしょうか。

 残念ながら家事事件手続法では、離婚成立(離縁についても)の際には、利用できないとされているのです。というのも、夫婦関係・親子関係の解消という重要な意味を持つ変更を伴うため、本当に本人により、しかも真意で解消について同意しているのか直接確認を行う必要がある、と考えられたためです。

 では、調停の内容について納得し、離婚についてもいいといっているから、ということで調停案に承諾する旨書面を送ることをもって、調停成立とすることはできるのでしょうか。

 これは時に複数の当事者がバラバラのところに住んでいることがよくある、遺産分割事件に限定して行われていましたが、家事事件手続法では家事調停一般でも認められるようになりました。しかし、離婚・離縁については、先の理由でやはり書面だけでの同意では足りないと考えられ、適用されていません。

 結局のところ、当事者に代理人がついているからといっても、代理人のみ出頭での成立でよしとする扱いをする家庭裁判所は少なく、どうしても当事者の出頭が難しいのであれば、調停に代わる審判という手続きで、裁判官が関与して成立にする例もあるようです。

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