法律のいろは

親権者の適格性と面会交流

2015年1月23日 更新 

 これまでこのコラムで度々取り上げましたが、面会交流については、現在の家庭裁判所の実務では、子どもの成長にとって欠かせないとして、積極的に実現させようとする方向にあります。

 ですから、今現に子どもをみている親(「監護親」といいます)はできるだけ、子どもを見ていない親(「非監護親」)と子どもとの面会交流がスムーズに実現できるように協力を求められることになります。

 そうはいっても、まだ離婚が成立していない場合はもちろんのこと、既に離婚をしていた場合であっても、子どもを見ている親からすれば、できる限り他方の親には会わせたくないという心理が働いてしまうことがままあります。

 夫婦双方が子どもの親権を主張し、父親と子どもが定期的(月に1回)に会うことを認めることを前提に親権者を母親としたものの、当初うまくいっていた面会交流がうまくいかなかったことから、父親が親権者変更などを求める申立を行ったという事案で、結果的に父親による親権者変更の申立を認め、親権者を父親、監護権者を母親にしたというものです。

 家庭裁判所で面会交流を試験的に2度行い、1度目はうまくいったものの、2度目がうまくいかず、その主な原因に母親の対応があるとしています。

 日本では法制度化されていないものの、最近では「フレンドリー・ペアレント・ルール」といって、子どもを見ている親が、他方の親と子どもとの面会交流に許容的であるかどうかが親権者の適格性をみるうえでの考慮要素となりつつあります。

 上の裁判例は、それをつきつめたものといえるかと思います。

 親権者を父親に、監護権者を母親と分けることで解決につながるのかよく分からないところはあるのですが、考え方の一つとして参考になる裁判例ではあるといえます。

 

 

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