法律のいろは

住宅ローンの返済の一部を財産分与の対象にできますか?

2015年3月8日 更新 

 これまで離婚時の財産分与において、住宅ローンが様々な問題となりうることは何回かに渡りお話してきました。

 今回は若干切り口を変えてではありますが、財産分与の際に問題となる住宅ローンにまつわる話を再度取り上げてみたいと思います。

◎ これまで住宅ローンの支払いを私(夫)がしてきましたが、これまで支払った住宅ローンの半額を妻に財産分与として考慮するよういえるのでしょうか?

  これは、まず住宅ローンを返済中の不動産をどのように評価するかにかかわってきますが、夫婦双方の財産を比較してその中で負債を引く場合と、個別の不動産の評価で考える方法とあります。通常は前者の、夫婦双方の財産から負債を引いて、プラスがあれば分与対象財産があるとするのが一般です。

  ですから、住宅ローンを支払っている不動産がオーバーローンではなく、他に大きな負債がない場合には、その不動産の価格を基準に1/2について分与を請求できるということになります。

  これに対して、オーバーローンの場合にはどう考えるべきでしょうか。
  オーバーローンであれば、結局のところ住宅の価値として評価できるものがなく、ゼロということになるので、仮に夫婦で協力をして住宅ローンの一部を返済していても精算の対象になる財産がないことになります。
  
  したがって、これまでに返済をした住宅ローンの一部については、残念ながら財産分与の対象とすることはできないということになります。

  よって、相手に支払いをした住宅ローンの半分の額を財産分与として請求もできないことになります。

  ちなみに裁判例でもその旨判示しているものがあります。

  

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