法律のいろは

セクハラと懲戒処分に関する裁判例(その③)

2015年3月12日 更新 

 前回前々回と,最高裁で判断が出たセクハラ行為による懲戒処分に関するケースについて,簡単なケースの紹介と懲戒処分が問題なる理由について触れてきました。今回は,セクハラに該当するというタイプごとに考えていきたいと思います。男性に対するセクハラもあるところですが,今回は最高裁でもんだになった場合と同じく,男性から女性に対する者を考えていきます。

 今回の裁判例で問題になったよりも問題の大きな行為,犯罪行為になるような場合について考えていきます。具体的には,意に反して薄い服の上から乳房を触る行為などです。悪質性が極めて高い行為ですので,懲戒解雇等重い処分になる可能性が大きくなってきます。

 次にそこまではいかない行為ですが,具体的には,立場を利用して性的関係を迫る・抱きつく等の行為です。こういった行為が,民事上慰謝料が生じる可能性が高いものにあたりますので,直ちに懲戒解雇まで至るかという点には問題が残ると考えられるものの,繰り返し行われるようなことがあれば,懲戒解雇等重い処分に至る可能性は高くなってきます。

 これに対して,今回のケースで問題になったような場合,つまり,直ちに犯罪や慰謝料が生じるとは言い難い(これは1回程度ではという意味です)と考えられるけれども,性的な言動にあたるものはどうかという点です。具体的には,【おばさん」「まだ結婚しないのか」等の発言や執拗に食事に誘うとか性的な意味を持つ言動をすることが考えられます。男女雇用機会均等法に定められているセクハラ行為はこういったものを指すと思われます。今回の裁判例で問題となった発言はこのタイプに属するものと考えられますが,先ほど挙げたものよりは悪質性は低いものの,繰り返し行われることで被害が出てくれば,行為の悪質性が極めてひどくはないというだけで思い懲戒処分ができないのかが問題になるところです。行為の性質だけでなく,繰り返しの中身や当然管理階層が行えばそれだけ悪性が増してくることになりますので,こうした事情を考慮してどこまで一連の事柄が悪質であったかを考えていくことになろうかと思われます。次回に詳しく触れますが,今回問題となったケースでも,こうした点の考慮は大きくなされていて,最高裁での判断では,これらの点等から会社の秩序への大きな違反行為であると判断されています。
 このほかの事情から,選ばれた処分が重すぎたかどうか(そもそも処分をするのがいいのかという話もあります)を考えていくのですが,高裁と最高裁では考慮が違ったこともあり,異なった判断となっています。次回に続きます。

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