法律のいろは

離婚の際の養育費と収入(その②)

2015年4月3日 更新 

 離婚の際の養育費に関して,実際には無収入であるけれども収入がある程度あるという扱いがなされる場合について,前回支払う側の話を触れました。今回は,養育費を貰う側(親権を持つ方の親)について触れます。問題になることが多いのは子供を抱えて親権者となった女性側と思われますので,こうした点を念頭におきます。

 まず,乳幼児といった小さな子供さんを抱えている場合や別居してそれほど期間が経過していない場合には,働けるはずであるという事を前提に収入がある程度あることを考えるのは難しいケースが多いように思われます。裁判例の中では,離婚前の婚姻費用に関して問題となったケースがあります。このケースでは,幼稚園に通う子供と保育園に預けている子供がいるもので,別居からそこまで時間が経過していないというものでした。裁判所は,働いていないけれども働けるはずと判断するにはいくつかの要素の考慮が必要と判断しています。挙げられているのは,母親の健康状態や就労歴・子供の健康状態などの事情とされているため,考慮される事情はケースにより異なってくるものと思われます。
 問題となったケースでは,母親の就労歴は短いものであり,別居からの期間も短いと述べています。そのうえで,子供が幼稚園や保育園に通っているけれども,送迎がある上に幼いため,就職のための時間が取れないことを述べて,こうした働いているのと同様に収入を考えることはできないと述べています。なお,この裁判例では,夫名義の車を妻が利用し,その税金を夫側が払っていた点について婚姻費用を決める際に考慮できるかという点も判断しています。

 以上述べた話は養育費についてもあてはまるところです。先ほどのケースでは色々な事情が考慮されていましたが,別居して新生活が落ち着いて来れば就職の可能性は増えてきますが,これまでの職歴やブランクの期間(いわゆる専業主婦の場合,主夫も同様でしょう)等の考慮も就職という点からはなされることになります。また,子供が幼く親の手がかかる状況であれば,就職は周りに相当の助けがない限りは困難なことになるものと思われます。
 こうしてみると,そう簡単に働けることを前提に考えていけるわけではないことになります。次に問題となるのは収入ありと考えるとしてどの程度の収入があると考えればいいのかという点です。この点は次回に触れたいと思います。

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