法律のいろは

面会交流調整の困難事例(その1)

2015年4月27日 更新 

 面会交流のお話については、これまでも度々取り上げてきました。最近では家庭裁判所でも、子どもの成長にあたって面会交流は必要として、積極的に認めていく傾向にあることもお話しました。

 今日は、その中でも、比較的調整が困難と思われる事例についての裁判例を取り上げてみたいと思います。

 事案は、夫婦の間では暴力があったと思われるもので(相手方も認めているようです)。離婚調停が継続しており、その中で双方とも未成年者の親権を争っているというもので、いわゆる夫婦の高葛藤があるケースです。

 かつては、こういったケースの場合、夫婦双方で面会交流の調整が難しいこと、間に立つ子どもも板挟みとなりやすいなどの理由から、面会交流が否定されることもありました。

 しかし、このケースでは、裁判書は面会交流を求める相手方が子どもに暴力をふるったことがないと思わること・子どもが相手方の影響により問題行動が多かったということが資料から裏付けられないこと・子どもが相手方を拒絶しているとまでいえないことを理由に、面会交流が必要かつ相当といっています。

 その上で、この事例がいわゆる夫婦が高葛藤である事案である上、子どもがまだ幼い(小学校低学年)ことから、面会交流をするにしても細かいかつ周到な定めが必要である、面会交流、普段のときにも守るべき事柄、禁止事項をきちんと定めることが、夫婦のお互いの不信感や子どもへの認識を共通なものとして、しれぞれの立場から子どもへの接し方を考えるきっかけになるなどとしています。

 具体的には、面会交流を実施する日、受け渡し場所、受け渡しの方法を具体的に定めるべきであり、特にこのケースのように、相手方による申立人への暴力などから申立人が恐怖心を抱いているケースでは、第三者機関の利用を考えたり、子どもが1人で行ける受け渡し場所の設定などを検討すべきなどとしています。

 面会交流は結局のところ、子どもを現にみている親の協力がなければ難しく、この裁判例でもそれに配慮した内容となっています。
 また、面会交流を実施するにしても、子どもに過度の負担を与えてしまうような方法で行うと、せっかく面会交流を実施しても早晩行き詰まり、再び調整しなければならない、ということにもなりかねません。

 面会交流の調整にあたっては、特に上記のようなケースでは、子供の通う学校などを含めてきちんと状況(子供の様子など)を調査をした上で、無理のない形で実施できるようにきちんとルールを定めるべき、ということをこの裁判例では明らかにしていて、参考になるケースではないかと思います。
 

 

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