法律のいろは

特別養子縁組とは?(相続などへの影響と法律改正の内容)

2015年5月5日 更新 

 養子縁組には,普通養子縁組とともに特別養子縁組というものが存在します。両者ともに,後発的に法律上の親子関係を作るということでは同じですが,後者については実親との法律上の親子関係を終了させる(ただし,ごく一部例外ある事項があります)という点で違います。言い換えると,普通養子縁組では,実親・養親双方と親子関係が生じる(ただし,養親の配偶者とは当然には生じません)ことになるため,特に相続は双方について相続人になるということがあります。これに対して,特別養子縁組の場合には,養親との関係でのみ相続などの話が出てきます。

 

 特別養子縁組とは子のための養子制度の充実化のために設けられた制度で,家庭のない子供に温かい家庭を与えることを目的とした制度です。実親との親子関係を断絶するという特徴があるために,活用の件数は限られていました。この制度を活用するためには,実親による養育が困難であること・養親での下での養育が相当であること等の要件の下で,父母の同意や養親の条件面が存在し,必ず家庭裁判所の審判が必要とされていました。縁組の届出を本人で出すということも可能である普通養子縁組(未成年の養子に関しては一部例外があります)との違いは必ず,家庭裁判所の判断が必要になるという点です。

 特別養子縁組は,養親側にも年齢の規制がありますが,特に子供についてはこれまでは原則6歳まで(裁判所の申し立て時点で6歳未満・6歳未満からの養育があれば例外的に8歳まで)という規制がありました。これに対して,児童養護施設などに入所している子供に家庭を提供するにしても年長であれば利用の可能性がなくなるという指摘や全ての手続きを1つの手続きで行うことの負担が指摘されていました。

 このことを踏まえて,特別養子縁組について法律改正が行われ,令和2年4月から施行されました。改正は児童福祉法とともに行われていますが,改正後に申し立てを行う手続きから改正内容が適用されます。

 

 改正のポイントは

 ①養子の年齢が家庭裁判所への申し立て時で15歳未満であることを原則とする(年齢の引き上げ)

 ②家庭裁判所の審判手続きを2段階の手続きへと変更し,・実親の養育状況や同意の有無などを判断する1段階目の手続き・1段階目をクリアしたことを前提とする,養親とのマッチングがうまくいっているのかを判断する2段階目の手続き

 が主な点です。このほかに,児童相談所長が手続きに関与できるようになるなどの改正も行われています。

 

 ①の年齢については年長の子供についても利用の可能性を開くものです。②については,これまでの手続きでは,実親の養育状況の問題点や同意(撤回がありうる)・養親とのマッチングを同時に行うことで,実親との対立(同委の撤回がありうる状況もケースによってはありえますし,実親の養育がまずい状況を言う必要もあるので,子供への思いもあって対立が起こりえます)の可能性の下で話を進めることへの負担感・負担感があることで同時に必ずマッチングも進めないといけないという負担感,が存在していたという事情が存在していました。

 2段階の手続きは同時に進めることもできますが,養親となることを希望する方が1段階目を申し立てる場合には2段期目も同時申し立てを図ることを義務付ける等負担感と長期化を避ける方策がとられています。実親の同意の撤回(裁判所の手続き等で行ったもの)を制限する・2段階目の手続きは同意の撤回の可能性を排除したうえでマッチングを行い,適当かを判断できるようにしたなど,問題となる事情への対応がなされています。

 子供の年齢で15歳を基準とするのは,15歳以上になると普通養子縁組でも子供の意思で縁組が可能(ただし,家庭裁判所の許可が未成年者の養子については必要)となる点と合わせたとのことです。特別養子縁組でも,子供が縁組成立までに15歳になっている場合には,その子供の同意が必要です。

 

 

 特別養親組は,離縁のハードルは極めて大きくなります。家庭裁判所の手続きだけでしか行うことができず,離縁ができる場合も限定荒れます。離縁ができるのは,養親による虐待など養親による監護が子供の利益に反し,実親による監護が適当になったなど特別の事情がある場合のみです。この事情の有無などの判断は裁判所が行うことになります。

 特に相続や扶養に大きな影響を与える制度ですが,家庭環境面を子供に与えるための制度というのが本来の趣旨ですので,活用の際には相当の覚悟がいるものと思われます。

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