法律のいろは

 遺言内容の実現の意味その①

2015年5月14日 更新 

 遺言で,財産の処分やその他法律で定めた事柄をかく,そのほか希望などをかくことがあるかと思われます。そうした遺言で書いたことが法律上の効果が発生するのはともかくとして,勝手に財産を処分数るのを防ぎ,登記を移す・お金を渡すなどの遺言で決めたことを達成しないと,遺言を書いた意味が事実上失われます。こうしたことが起きないように,遺言で決めた内容を実現するための方を予め決めておく(法律上は必ずしも必ず決めておかないといけないわけではありません)のが遺言執行と呼ばれるものです。当然遺言執行をしてもらう人を誰にするかは大きな問題です。

 殊にこうした遺言内容を実現する方を置いておくメリットとしては,勝手に預金を相続人が引き出す・その他遺言で決めたことに関する手続きの妨害に対応することができる他に,煩雑な手続きをその方に任せることができるというのが大きなものと考えられます。

こうした遺言執行者になれない方は未成年者等法律で定められたものがありますが,相続人の中から一人あるいは複数を選んで指定することはできます。もちろん,遺言を残す方から遺言執行者に指定されたからといって必ず遺言執行者になるわけではなく,その方の承諾が必要なのは言うまでもありません。

 遺言執行者がいる場合には,法律上相続人の代理人となりますが,相続人は財産を処分する権限等遺言執行を妨げる事柄を行う権限を失い,遺言執行者がそうした事柄を行うようになります。こうしたことから,遺言執行者には相続人の中から指定されることもありますが,相続人の間の公正に問題があるのではないかと危惧されることもあり,特に相続人の(厳密には相続人となりうる方)の間で対立が強く予測される場合には,第3者を遺言執行者にしておいた方がいい場合はあるように思われます。ただし,遺言執行者の行うことができる範囲にも限界はあります。

 

 よく士業などの専門家に相談して遺言書を作成する場合には,公正証書遺言が多く遺言執行者には助けてもらった士業の方がつくケースが多いように思われます。ここでは報酬を取り決めておくことが多い(取り決めていない場合には家庭裁判所に申し立てて決めてもらうことになります)ので,この点はきちんとkめておく必要があります。

 また,遺言執行者はあくまでも遺言の内容の実現が業務内容であるため,相続人の対立が大きい(特に遺言書の文言の解釈でもめている等)の場合には,遺言の内容の実現自体がうまくいかないこともありえます。この際には遺言執行者の業務を超えることも出てきますので,個別に相続人の方が弁護士に依頼して交渉などを行う必要が出てくる場面も出てくるでしょう。

 こうした遺言執行者がどのようなことを行うのか等については次回に触れたいと思います。

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