法律のいろは

不倫・不貞行為にあたる場合と慰謝料や離婚理由にあたらない場合はあるのか?(その①)

2015年5月20日 更新 

 法律上,不倫・不貞があれば原則として慰謝料に支払い義務が生じ,離婚原因にもなる(離婚を求める側が行う場合には,原則として離婚が認められなくなりうる)という話はこれまで何度か触れてきました。今回は,そうした話の補足です。

 まず,不倫・不貞が性行為であるという話は何度か触れました。これはいわゆる双方の合意がある場合だけでなく,一方的に自らの意思で行ったもの(強姦の加害者)もあてはまるところです。これに対し,自分の意思ではない,強姦の被害者の場合には該当しません。なお,強姦にあたる行為は犯罪行為(強姦罪)にあたるところです。

 これに対し,いわゆる風俗店に通うことが不貞行為・不倫にあたるのかは問題にされることがあるのではないかと思われます。この話については,当然に該当するという考えと当然には該当しないという考えがありえます。性行為を伴う場合には当然に該当しますが,性行為を伴うものとは当然に言えない風俗店であれば該当しない可能性がでてきます。そうした事柄にあたるかどうかはケースごとになろうかと考えられます(単なる風俗通いでは,当然には不貞・不倫とまでは言えない可能性があるという事です)。

ただし,少なくとも,風俗店での遊びのつもりだから性行為を伴うことをしても不貞・不倫に該当しないという事はありえないことは言えるかと存じます。こういった性行為が存在したと言えるかどうかという点が問題になるところですが,ここは立証の問題になってきます。
 とはいえ,風俗店に通うこと自体は,仮にこうした事柄を配偶者から指摘されても直さないという事であれば,夫婦関係悪化の原因と捉えられることになります。また,離婚を余儀なくされる慰謝料の原因にはなってくるところです。こうした夫婦関係悪化に至る事柄であったかどうかは,離婚を考えるに至る話しの中でどういったやり取りがなされてきたのかと大きくかかわってくるところです。なお,風俗店での性行為は違法な行為となるリスクのあるところです。

 一方,不倫・不貞が配偶者にあった場合で,その事ゆえに離婚を決意して配偶者に求めたものの,話し合いがつかず離婚裁判になった場合に,離婚が認められないことはあるのでしょうか?結論としては,ありうるとは思われます。それは,およそ一回しかそういった事柄が存在しないような軽微なものや他の事情から夫婦関係にひびが入っていない等と考えられるケースです。実際の数はどこまであるのかという問題はありますが,法律上の離婚原因があっても,離婚を相当としない場合には裁判所が離婚請求を認めない裁量棄却という制度があるところです。

 次回に続きます。

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