法律のいろは

養育費の支払義務ある者が失業中のとき

2015年5月21日 更新 

 養育費の支払義務を負う者が失業中で、かつ多額の負債を負っているときは、収入がないからといって支払を免れるのでしょうか。

 これまでもお話したように、未成年の子どもを育てる義務は、子どもを育てている権利者が生活に困ったときに自分の生活が困らない程度に援助すれば足りるというものではなく、子どもが義務者と同じ程度に生活ができるようにしなければならないとされています。

 ですから、支払義務ある者が失業中かつ多額の債務の支払も困難で、自分の生活にもことかくような状態であれば、正直なところ、その者に養育費の支払を求めても支払を現実に期待することはできないでしょう。

 それでは、失業中であるとはいえ、債務の支払はなんとか滞りなくしており、かつ失業保険も受給している、といった場合はどうでしょうか。

 まず、失業保険は家族の生活をも維持するためにも支給される者ですから、給付を受ける者に家族があれば、家族を含めて生活を維持できるようするために支払がなされるといえます。

 ですから、失業保険の受給があれば、養育費の算定にあたり収入として考慮されます。

 また、義務者がまだ年齢的にも就労ができ・健康上も問題がないような場合であれば、失業に至った経緯・退職金の有無に加え、就職活動や将来再就職する可能性なども踏まえ、場合によっては従前勤めていたときの収入と同じ収入を得られる可能性があるとみて(潜在的稼働能力あり)、養育費を算定すべき場合もあるでしょう。

 さらに債務の支払を滞りなくしている理由(親の援助の有無など)も調査する必要があるでしょう。

 このように、単に支払義務を負う者に現時点で収入がないとしても、本当に支払をすることができないのか、資産の有無や今後の就労可能性などを十分に考慮して、養育費の算定を行う必要があるでしょう。  

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