法律のいろは

エンデイングノートの有効性

2015年5月26日 更新 

 最近,生前の色々なことの整理などのためにエンデイングノートというものが喧伝されているように思われます。そこに何をかくのかはそれぞれのノートによるところですが,こうしたエンデイングノートは法律上どのような意味を持っているのでしょうか?

 エンデイングノートに書く事項は様々あるところですが,たとえば,延命治療は不要であるとか・葬式はしなくてもいい・財産の配分に関する事柄とか・亡くなった際に残された親族に対する気持ちの表明等があるかと思われます。これらのうち,延命治療に関しては,この事柄をもってただちに法律上の意味が生じるわけではありません。また,葬儀についても,遺言に関する法律上の定めの中で,定めがないため,由意義は不要という事もその方の意思の尊重はともかくとして,法律上の意味はありません。

 財産の配分に関しては,法律上遺言で定める事項ですので,エンデイングノートに記載した事柄が法律上意味を持つことがあります。ただし,エンデイングノートの記載だけだと自筆証書遺言という事になろうかと思われますが,自筆証書遺言は細かいルールがあって,そのルールに違反した作り方がされていると,遺言として無効になってしまう危険性があります。
 亡くなっ際に残された親族に対する気持ちの表明も法律上は特に意味を持ちません。これは,法律で定められた事柄が意味を持つのですが,遺言として定められる事項は法律で決められていて,遺族に対する気持ちの表明がそこに含まれていないためです。

 こうした点への対応は,エンデイングノートで一通りの整理をしたうえで別に遺言を作成することで回避することができます。また,その他の記載事項も親族に自らの気持ちを伝えることや後で争いにならないように仲裁する意味を事実上持たせる点では意味はあるかと思われます。エンデイングノートを一つの整理と考えて他のことへつなげていくという点において,意味はあろうかと考えられます。

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