法律のいろは

亡くなった方の相続人の方に行方不明の方がいた場合にはどうするのでしょうか(その①・不在者財産管理人)?

2015年5月28日 更新 

 亡くなった方の相続人の中には,兄弟がいて,そのうちの一人が疎遠でありかつ子供や配偶者がいないという場合があるかもしれません。亡くなった方が高齢であれば,その後両親もいないために,兄弟の方が相続人になるようなケースが考えられます。そうした場合で,その兄弟の方が連絡が取れない場合には,遺産分割協議に支障をきたすようなことがありえます。

 こうしたことがないようにする方法としては,まず遺言を作成しておくという事が考えられます。ただ,遺言を作成していないけれども自宅の不動産等が存在するケースが考えられます。こうした不動産について行方不明の方以外が相続放棄をすることもなく,どなたかが取得する合意をする場合には,遺産分割協議となりますので,相続人全員の同意が必要になります。しかし,疎遠で連絡が取れない場合には同意を得ることが難しくなります。どうやって対応するのかがここでの問題です。

 特に疎遠でかつ生きているのかどうかさえも分からない場合があります。この場合は話し合いをしようもありえない可能性がありますので,どう対応するかが問題となりえます。こうした場合の対応の制度としては,不在者管理人の選任の申立てを家庭裁判所に申し立てること・失踪宣告の申し立てをすることが考えられます。ただし,どちらも法律上の要件を満たす必要がありますから,常に申し立てが認められるわけではありません。

 不在者財産管理人制度について,まず触れていきます。ここでいう不在者とは,生死不明とは限らず,普段暮らしているところから離れていて戻って来なさそうな場合が広く該当しえます。そういった場合に利害関係を有する方等からの家庭裁判所への申立てがあって,かつ財産を管理する制度であるため,そうした財産が存在することが必要になってきます。どこにいるのかが分かっている方は不在者にはあたりません。長期に家を出て戻って来ず今後も戻って来ないような場合で,どこにいるのかすら分からない場合が一つの典型例です。

 こうした申立がなされる目的の主要なものの一つに先ほど挙げたような遺産分割の話し合いをするためというものが挙げられます。この制度を使うには家庭裁判所への申立てが必要ですが,ここでいう利害関係人に誰が当たるのか等は次回に詳しく触れたいと思います。

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