夫婦で離婚の話し合いをしたものの、金銭的な折り合いがつきそうにない場合、それでも離婚をしたいのであれば、家庭裁判所に離婚調停の申立をして、裁判所の手続きの中で離婚の話をすることになります。
以前にもお話したことがあるかもしれませんが、離婚など家族に関する紛争の場合、まずは話し合いで合意できるようにするのがベスト、という考えのもと、いきなり裁判によるのではなく、調停手続きをとらなければならないとなっている(調停前置主義といいます)ことから、まずは調停によることになります。
調停をする場合、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所への申立をするのが原則です。これは、申立をされる側、つまり相手方が行きやすい裁判所への申立をするよう求めることで、相手方の手続保障を図ろうとするものです。もっとも両者でどこの家庭裁判所でやりましょう、と合意ができればその家庭裁判所で行うこともできますが、なかなか合意をえるのは難しいこともあるでしょう。現にあとで挙げるような、相手方の所在不明のときはそもそも合意しようがないですし、住所が秘匿になっているケースでも、秘匿している相手方に代理人(弁護士)がついていない限り、調整の上合意するのは困難でしょう。
ですから、離婚調停となると、たとえば相手方が北海道の某家庭裁判所支部管内に住んでおり、申立人が九州の実家にいるのであれば、離婚を求める側が北海道の某家庭裁判所支部に申立をしなければならないことになります。調停はおおよそ1か月に1回となりますので、その度に出向く必要が出てくると大きな時間的・金銭的負担になってきます。
もっとも、家事事件手続法の改正で、電話での調停・テレビによる調停が認められるようになってからその点での負担は少し軽減されたようです(ただし調停成立には当該家庭裁判所への出頭が必要です)。ただ、家庭裁判所によっては設備上電話等による調停ができないところもあるようですので、申し立ての際に確認した方がよいことは以前お伝えしました。
それでは、相手方の所在がそもそもわからない場合にはどこに申立をしたらよいのでしょうか。
相手方が行方不明の場合は最後の住所地だったところを管轄する家庭裁判所に申立をすることになります。
時にみられるのが、相手方が明らかに自分(申立人)の住所地と異なる管轄の家庭裁判所の管轄内にいるが、DV支援措置をとっているため住所が秘匿にされている場合です。
この場合は役所が住所を秘匿にしている本人(相手方)の身の安全のため、教えてくれない可能性が高く、管轄する裁判所(たとえば○市内にある家庭裁判所である)が明らかになると、申立人には少なくとも○市に相手方がいるとわかってしまうことになるからです。
ですから、このような場合には、相手方の住所がしれないとして、最後の住所地を管轄する家庭裁判所に蒸したてをするか、自分の住所地を管轄する家庭裁判所に申立をして、その後の手続きは当該家庭裁判所と相談するのも一つの方法です。
申立をする前に、家庭裁判所と相談をしてから進めるといいのではないかと思います。
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