法律のいろは

亡くなった方に大きな借金があることが分かったら(その④)

2015年7月13日 更新 

 亡くなったからに大きな借金があった場合の対応方法として,相続放棄という制度があるという事について,前回・前々回と触れていきました。今回は,この制度をもう少し詳しく触れていきます。

 相続放棄をするには,家庭裁判所に対して,相続放棄申述申立書という書類を作成し(必要事項の記載が必要です)家庭裁判所に提出する必要があります。記載する事柄は,この書類は相続放棄の法律上の要件を満たすかの判断の資料となりますので,こうした要件を満たすことを書く必要があります。

 法律上の要件としては,「自分のために相続が開始したことを知ってから3か月以内」であることが大きなものとなります(東日本大震災の際にはこの話の特例となる法律が成立して適用されていました)。このほか,相続の開始や相続人であること等を記載します。亡くなったことを知ったのはいつなのか・時間が経過した後であれば知った経緯も問題となります。先順位の相続人がいる場合(亡くなった方の妻や子供)にはその方が相続放棄をしない限りはその兄弟姉妹は相続人とはなりません(ここでは親は亡くなっていることを前提として記載します)。兄弟姉妹がのちに相続放棄をする場合には,その方が亡くなったことを知っただけでは,自らが相続人であることを知ったことにはなりません。子供や配偶者が相続放棄をしたのを知ったのはいつなのかが問題になります。  亡くなった方の生前あるいは亡くなった方の死亡直後頃に借金等が判明した場合には,この期間内であるかどうかは問題にはあまりならないように思われます。問題となるのは,亡くなってから相当時間が経過した後の相続放棄の申述の場合です。このケースについては原則3か月とされる期間のスタート時点が後ろの時期になるのかが問題となり裁判例が多数存在します。
 なお,相続放棄の動機は,多額の負債を引き継ぎたくない等様々あると思われますが,家庭裁判所での判断の中ではこうした事情は問われることはありません。あくまでも,法律上の要件を満たしているかどうかが問題となってきます。もちろん,相続放棄の申述申立は,申立をする方の真意に基づいている必要がありますので,この点は確認されることになります。

 先ほども触れました問題になる可能性のある場合,亡くなった方の死亡後相当経って負債が明らかになった場合(そもそも,死亡すら不明であった場合,負債のみ後で明らかになった場合等が考えられます)に,「自分のために相続が開始されたことを知ってから3か月以内」といえる場合がどういった場合であるかは,次回に詳しく触れたいと思います。

 ちなみに,相続放棄がなされると,その申述申立をした方は最初から相続人でなかった扱いがなされます。ですから,その方の相続分は他の方のところに行きますし,その他様々な法律上の扱いがなされることになります。

 次回に続きます。

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