法律のいろは

婚姻費用(生活費)の算定の際に,資産はどのように考慮されるのでしょうか?

2015年8月1日 更新 

 婚姻費用(生活費)の金額の計算には,主として収入が考慮され,いわゆる算定表が大きなウエイトを占めているというのはこれまで何回和触れてきました。一方法律上は,婚姻費用(生活費)については,収入や資産その他一切の事情を考慮すると定められています。ここでいう,資産とは何でどのように考慮されるのでしょうか?

 主には,算定表で現れた点が重視されることから,特に資産の面で考慮すべき事柄があるのかどうか・どの程度考慮すべきなのかが問題となってきます。実際に,算定表が定められる前の裁判例でも,主には夫婦の収入が考慮要素であると述べる裁判例があるところです。夫婦で気づいてきたとは言えない,それぞれが相続した財産やそれをもとにした収入(たとえば,相続した家やそれを人に貸して得た賃料収入)を考慮しないのが原則であることは言えるかと思われます。夫婦の生活費に用いられていなかったものは考慮するのは不自然ですし,そうした資産を売って収入に充てさせるというのも同様におかしいためです。

 とはいっても,こうした財産をもとにしていると言っても,先ほどの例で言えば,相続した家を貸した賃料が唯一の収入である場合には,まさに生活費として機能していることから,こうした収入を考慮しないのは不自然になるため,この場合は考慮を考えていくことになります。夫婦共有財産であるものを運用して得たものが生活費に充てられるのはこれに対して当然だと思われます。

 このほか,夫婦共有財産で問題となるのは使い込んだお金や持ち出した預貯金などかと考えられます。これらは基本的には,夫婦共有財産の清算の問題として離婚をする場合の財産分与の問題となるところです。ただし,生活費に充てることが夫婦双方で了解された上で,お金を使った・余った貯金を持ち出した場合には生活費〈婚姻費用)に含まれるものとして,考慮されることがありえます。

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