法律のいろは

貸している部屋の家賃が支払われない場合,どうすればいいのでしょうか(その①)?

2015年9月6日 更新 

 アパートを経営しておられる方や使わない建物を貸している方の悩みの一つに,家賃を払わない方への対応があるのではないでしょうか?貸す際の契約書の中に一回でも家賃の支払いが遅れた場合には契約を解除できると書いておけば,いつでも解除によって借りている方を追い出せるものなのでしょうか?家賃の滞納があった場合に,大家だからといって,部屋へ勝手に立ち入って荷物などを外に出すとか・鍵を付け替えることは可能なのでしょうか?

 まず,家賃を一回でも滞納すれば賃貸借契約を解除して,借りている方を追い出せるかというと,事情にもよりますが,通常は難しいと思われます。人のものを借りておきながら,払うものを払わないのはおかしいという考えも浮かぶかもしれません。しかし,裁判例上,賃貸借契約では,貸す側と借りる側の信頼関係を失わせるほど大きな違反行為が必要とされています。自分にとっては一回でも遅れれば大きな違反だという考えもあるかもしれませんが,一般にはこうした考えはとられていません。事情にもよりますが,延滞が継続していることが必要な場合がほとんどと思われます。もちろん,他にも迷惑行為等が重なれば変わってくる可能性はあります。
 このほか,一回ずつとはいえ延滞を繰り返している方も事情は異なってくる可能性があります。一カ月遅れ,その後督促をしたら払うけれどもまた一カ月遅れを繰り返すような場合です。この場合には,こうした繰り返しの程度によっては,信頼関係に大きなヒビを入れる可能性もあります。結局は,ケースごとに同なのかを考える必要があります。

 次に,家賃の滞納があった場合に,部屋の鍵を勝手にかえる・部屋の中に立ち入ることを大家だからできるのかという点を触れます。結論から先に言えば,こうしたことはできません。もし,やってしまうと法律上大きなリスクを抱えこむことになります。前者については,法律の定める手続きによらずに鍵の交換を行った行為等について損害賠償の支払いを命じた裁判例も存在します。後者については,住居侵入罪が成立する可能性もあるところです。自分の持ち物なのにという気がするかもしれませんが,貸している以上は借主の権利も存在するところからこうした可能性が出てきます。このほか,追い出すための方法として,ドアの前に張り紙をする場合も,その内容や張り方によっては名誉棄損の可能性も出てきますから,注意が必要です。

 次回に続きます。

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