法律のいろは

解雇について争っているときに気をつけるべきこと

2015年9月17日 更新 

 会社から突然いわれのないことを理由に解雇を申し渡された…そんなとき、従業員が会社が申し渡した解雇の効力を争いたいと思ったとき、どんなことに気を付けておくとよいでしょう。

 解雇については、会社での地位がなくなるという、労働者にとって大きな不利益を与えることですので、法律上もかなり制限されています。

 どういった場合に解雇が認められるのかといった、立ち入った話は別の機会に譲るとして、今日は会社から解雇を申し渡された場合について触れたいと思います。

 しばしばあるのが、会社が解雇を申し渡すとともに、解雇予告手当や退職金を一方的に従業員の口座に振り込んでくるケースです。

 会社は従業員に解雇を言い渡すときは、解雇を申し渡す少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金を支払わなければならないため、30日前の予告期間を満たさないときは、解雇予告手当を支払う必要があります。

 また、就業規則や退職金規定などに、会社を退職すると退職金を一定のときまでに支払う旨の規定があれば、それに基づき退職金を支給してくることがあります。

 従業員もいきなり会社から解雇を申し渡されると、たちまちその後の生活をどうするか問題になりますから、一旦解雇予告手当や退職金を受け取った上で生活を確保しつつ、争いたい気持ちになるでしょう。

 ただ、その場合、解雇予告手当を受け取ったり、退職金を受け取ることをいわば追認することで、そもそもそのもととなる解雇自体を認めているようにも思われます。そうなると、その後たとえ会社相手に解雇の効力を争っても、不利に働くことになりそうです。

 解雇予告手当を受け取ったり、退職金の支給を受けることで、解雇の効力を争うにあたり何か法律上の制限が出てくるというわけではありません。

 ただ、一度解雇予告手当や退職金を受けてから、別の会社に就職して相当の期間がたってしまうと、会社としてももはや解雇の効力は争わないと考えるのが普通でしょう。

 ですから、会社による解雇に納得いかない、争えるなら争いたいというのであれば、解雇予告手当や退職金は受け取らない、振り込まれたとしても会社に返す、あるいは法務局の供託制度を使って、一時的に預かってもらう方がよいでしょう。

 もっとも、会社としても、解雇が無効になれば、本来払うべき給料を払っていないことになるので、解雇を争っている期間の給料の支払いに退職金などを充てることを会社に通知の上、生活費などに充てることも考えられます。

 解雇を争うことでかえって今後の生活の目処が立ちづらい、一刻も早く次の生活をスタートさせたいと思うケースもあるでしょう。解雇を争うことが精神的・経済的に負担になることもあると思いますので、よく家族や弁護士などに相談をして決めるとよいと思います。

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