法律のいろは

再婚と遺産分割協議

2015年10月11日 更新 

 ご自身の親御さんが亡くなってみると,そこに相続が発生します。遺言がない限り,法律で相続人と定められた方々が定められた取り分を持つことになります。現金や預金のように当然には分けられない遺産(たとえば,家や土地)がある場合には,それを分けるための話し合いが必要になります。遺産分割協議のことですね。その後,仮にその親御さんは実は再婚で,前婚で子供がいたという場合に,遺産分割協議はどうなるのでしょうか?

 こういったケースでは,通常新たに判明した兄弟(姉妹)とは,交流がないことになるでしょう。そのため,話し合いをしにくいところがあるかもしれませんが,新たに判明した兄弟(姉妹)を抜きにして行った遺産分割協議は法律上無効になります。遺産分割協議は,全ての相続人で話し合いをしなければなりません。原則として,話し合いの対象から漏れていた遺産の分け方を後で話し合えることが可能であるのとは大きな違いです。

 ちなみに,その新たに判明した兄弟(姉妹)が既に亡くなっていて,その方に子供がいる場合には代襲相続によって相続人になりますので,この方との話し合いが必要になります。誰と話し合いが必要かを調べるには,戸籍などの調査が必要になることもあります。特に相続開始後長年にわたって遺産分割協議をしていない場合には,その後に相続人の相続が発生していることもあり調査をするのが大変になります。また,法令の規制により戸籍の取り寄せができる範囲も限界が存在します。こうした場合に,調査及び普段付き合いが全くない方との話し合いが難しいと感じるのであれば,弁護士等の専門家に依頼することも方法の一つでしょう。弁護士などの専門家には,職務上請求による戸籍の取り寄せを行うことができます。これは,何の依頼もなく自由に他人の戸籍を取り寄せることができるものではありませんが,依頼事項について・戸籍の取り寄せが必要といえるケースについては,他の方の戸籍を取り寄せることができるという制度です。もちろん,この依頼事項はその専門家の業務として正当なものである必要がありますので,単に他の方の事情が知りたいというのはダメですし,戸籍の取り寄せのみを依頼することはできません。

 実際には,戸籍資料の取り寄せを行って相続人の関係を整理するとともに,遺産の分割案を提示して話をつけていくことになります。遺産の内容などにもよりますが,遺産分割には興味のないという方が出てくる・連絡が取れないという場合も出てくるかもしれません。こうした場合には,前者から相続分の譲渡を受ける・後者に対しては遺産分割調停を家庭裁判所に申立るという対応を考えることになるでしょう。後者については,家庭裁判所における調停に出頭がされないこともありえますので(特に関心はないが連絡にも応じないケース),この場合には調停に代わる審判という形で決着をつけることもありえます。いずれにしても,ケースごとの事情によってどうしたほうがいいのかを考えていくことになるでしょう。分割を考える際には,取得についての希望や相続税の負担の軽減が可能なのか・税務負担以外のお金の負担を考える・後日の紛争などを抑えるにはどうすればいいのかを考慮していく必要があります。

 こうした面倒を避ける方法として簡単かつ有効なのは,遺言を作成することでしょう。もちろん,こうした場合でも新たに判明した兄弟の方から,遺留分減殺請求を受ける可能性は出てくるかもしれませんが,遺産分割協議とは異なり,法律で定まった期間内に行使されないと応じる必要は出てきません。可能であれば,こうした問題自体を起こさないように遺言を予め作っておくなり,他の対策で行使された場合のお金を準備しておいた方がいいように思われます。

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