法律のいろは

遺言でもらう土地建物にことわりなく相続登記されていた場合の対応は?

2016年1月11日 更新 

 非常に長いタイトルですが,簡単に言えば次のような場合どうなるのでしょうか?

 親から一緒に住んで面倒を見てくれたら,自宅を相続させるという話だったので,一緒に住んで面倒を見てきました。他に兄弟が1人はいますが,遠くに住んでいて帰ってきません。先ほどの親の話もあったので,その通りの遺言を作ってもらっていました。ところが,親が亡くなった後,気づいたら,遠くにいた兄弟が相続分(1/2)に応じた相続の登記をしていたというものです。

 この場合に,遺言がなければ,法定相続分にしたって兄弟で相続をし,具体的な配分を決める遺産分割の話し合いの中で寄与分と呼ばれる特別の貢献があったことを言って調整を図ることになります。ただし,気づいたら登記をされていたというところから,話し合いは難航する可能性も十分あり,家庭裁判所での調停等を念頭におくこともありえます。

 それに対して,先ほど挙げたように,遺言があれば話は変わってきます。遺言の中で,「自宅を〇〇に相続させる」という記載があれば,法律上当然に単独で相続をすることになります。ですから,相続分に応じた登記は実態に合わない登記になりますので,登記を抹消するよう求めていくことになります。遺言執行者が定められていれば,その業務として抹消を求めていくことになります。ただし,他に財産がない中で自宅を相続するという話になっていた場合には,遺留分侵害(減殺請求を受ける可能性があります,令和元年7月以降の相続では侵害分のお金の支払いという話になります。

 これは,大ざっぱに言えば,法律上子供と配偶者に認められた遺言でも左右できない取り分と考えればいいでしょう。遺留分に対応するお金を渡すように請求をしない限りは,法律上の意味は出てきません。

 実際に他の預貯金が親の遺産にあるようなケースでは,遺言がない場合には遺産分割協議として,遺言執行者の反対もなければ,先ほどのケースでは相続人である兄弟の合意によって預貯金の配分によって遺留分を侵害しないように話をつける・遺言で預貯金も全部もらうことになっていた場合でも,遺留分を侵害している部分を預貯金で清算するということも可能です。

 ただし,勝手に相続分に応じた登記をしている場合には,そう簡単に話し合いができない場合もありえますので,相手の反応を見ながら,その後の対応や手続き(家庭裁判所での調停や地方裁判所などでの裁判)を考えていくことになります。繰り返しですが,遺言が存在する場合には,令和元年7月以降の相続では遺留分侵害請求では遺言で定められたこと自体は動きませんし,改正前であってもあくまでも遺留分の範囲で共有になるにすぎません。いずれにしても,それとは異なる相続登記には実態に反していて維持される理由はないので,裁判では抹消が認められることにはなるでしょうけれども,円滑に話を進めるべく調整をすることもありえます。

 

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