法律のいろは

子供の親権者となった相手方配偶者が再婚をして,再婚相手と養子縁組をした場合に,自分への親権者変更は可能でしょうか?

2016年1月14日 更新 

 タイトルは長いですが,たとえば,妻が離婚の際に子供の親権者となり,その後再婚しました。再婚相手と子供が養子縁組をした場合に,その後,親権者変更の手続きで親権者とならなかった実の親は親権者になれるのかという話です。

 こういった問題が生じる背景は様々あるかと思われますが,虐待の疑いその他子供の養育環境等から見て,可能かどうかというのが一つの背景となると考えられます。

 実際,最高裁の判断も存在し,こうした親権者の変更は認められないと判断しています。問題になったケースでは,離婚後子供の親権者になった元配偶者が再婚し,再婚相手と子供について養子縁組をしました。その後,しつけ等について行き過ぎがあったと主張して,親権者にならなかった実親が親権者変更を求めました。裁判では認められたものの,それに基づく戸籍の変更が役所で認められなかったため,この役所の措置を争ったものです。

 第1審では,変更を認め,第2審では認めませんでした。最高裁では,結論として変更は認めたものの,親権者変更の手続きで,こうした場合に親権者の変更を認めるのは法律の解釈を誤っていると判断しています。

 法律上,離婚等によって親権者を一度決めた場合に,子供のために利益があり必要であれば,親権者を他の一方への変更を認めています。この文言からすると実の親も親だからと考えてしまいがちです。裁判所の考え方は,こうした他の一方への変更という制度は,子供が離婚等の後一方の親の親権の下にある場合を想定しているというものです。

 養子縁組をした場合には,元々の親権者と養親との親権の下に子供がいるために,想定した場合と異なるために,こうした変更という制度を使えると解釈するのは誤りだと考えています。

 それにもかかわらず,戸籍の変更を認めたのは,こうした法律の解釈を誤っても変更を認めないと役所が判断して対応することまでは正当化しないと捉えたためになります。

 いずれにしても,今後は親権者の変更という手続きではなく,ハードルはあるものの,親権の喪失などの制度を使って,対応することを考えることになるものと思われます。この点は先ほどの最高裁の判断の中でも触れられています。

 

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