法律のいろは

残業代とそもそも残業させることができるのかという問題

2016年1月20日 更新 

 過酷な勤務条件の職場には,そもそも残業をさせることが違法な場合がありえます。残業とは,法律で定められた一週間40時間・一日8時間を超えて働く場合を一般には指します。このほか,深夜残業は,午後11時から午前5時の間にはたくことを指します。この他,細かな点はありますが,法律で定められた残業は以上のとおりです。よく残業際が出ないという話がありますが,残業をさせることがそもそも違法かという話と残業代の支払いは別の話です。

 そもそも残業させることが違法というのは,残業を会社側が命じること自体が法律で許容されていない状況で,罰則によるペナルテイが存在する状態です。それでは,この場合に残業代を支払わなくてもいいという話になるかといえば,そのようなことはありません。最高裁の判断があり,この場合には時間外・深夜・休日の割増賃金の支払いを会社はする必要があります。

 残業を従業員にさせることを違法にしないためには,いわゆる36協定というものが書類で作成され,届け出を役所に対してする必要があります。書類で作成しているだけではダメで届け出も行う必要があります。この36協定とは,多くは職場の従業員の過半数代表と結ぶ形で作られるでしょう。

 それでは,こうしたいわゆる36協定を作成すれば会社は無制限に従業員を残業させられるかといえば,もちろんそんなことはありません。あくまでも,従業員の方の個別の同意をえる・就業規則の中で,残業を命じることがある旨の定め等が必要となります。就業規則がない場合には,多くは個別の従業員の同意が必要になります。また,こうした同意などが合っても,無制限に残業を命じられるわけではありません。

 また,残業をさせることが違法でなくなっても,法律で定められた割増賃金を支払う義務が原則として会社には出てきます。例外として,一部の残業代を支払わなくてもいいという扱いに該当したとしても,深夜残業の割増賃金の支払い義務が生じる場合は多いですので,この点も注意は必要です。

 このように,勤務時間や給料にも思わぬところに落とし穴があるかもしれません。

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